E: (唐突に)いやーでも見回してみて、やっぱり洋楽がまったくダメですな。
T: ダメですな。洋楽の徳丸といえども、確かに停滞してますな。まぁ、そんな中でもtahiti80の「パズル」は良く聴きましたね。
E: それってさぁ、やっぱり“タヒチ エイティ”って読むんだよね。俺ずっと“タヒチはちじゅう”って読んでた。っていうか、今でもそう読む(笑)。
T: 俺も俺も(笑)。アルバムでもアーティスト名でも数字が入るとなんか、日本語読みしちゃうよね。
E: 俺なんかずっと、“Bごじゅうにず”(B−52's)って読んでたもん(笑)。
T: (笑)それでtahiti80ね、CD屋のポップに俺の好きなファウンティンズ・オブ・ウェインズが絡んでいるって書いてあって、それなら絶対いいに決ってるって思って、しかも、日本のアニメちっくなイラストの ジャケットも良かったんで即買い。で、一発で気に入りました。
E: いかにもネオアコ風なジャケットでね。音もツボにハマりまくってましたね。フランスのバンドですけどね。私もコレはよく聴きました。
T: これ出た時、久々に江口さんに「いいCD見つけたよ」って言った覚えがあるよ。
E: あと、アレも良かったじゃん。チェリー・オーチャードの「This world is such a groovy place」。似たようなテイストでね。これもフランスのグループだったっけ?
T: いや、あれはまさにイギリスのギターポップ。今は亡き渋谷WAVEをうろついている時にかかってて、メロディラインが、大好きなニューオーダーそのものでね。これまた即買い。
E: フランスとかドイツとかの音ってこの頃面白いよね。かってのイギリスのネオアコみたいな、本家より本家らしい音のバンドがいっぱい出てきてる。
T: そうそう。これまでそこら辺の国のバンドっていうと、ちょっとマガイものっぽいっちゅうか、その国クサさがあったけど、そういうのが全然なくなったよね。
E: なくなったね。英語で唄ってるバンドも多いし。でさ、そこら辺のバンドって、日本のネオアコ系とか、かっての渋谷系周辺のバンドと感性近いよね。いろんな音楽の引用やミクスチャー具合のセンスがさ。
T: それでなんかツルんでる系多くない?お互いリスペクトし合ったりとかね。
E: フェイバリットがフリッパーズ・ギターなんてバンドがゴロゴロいるからね。ドイツのスペース・ケリーとかモロだったよ。
T: ふ〜ん。他に洋楽で何かある?
E: 面白かったのはね、セニョール・ココナッツ(笑)。
T: 何それ?ゴメン、知りません私。
E: これはね、細野晴臣とかとユニット組んだりしてるアトム・ハートって人がやってるんだけど、クラフトワークの曲を全部ラテン調でカバーしてるアルバム(笑)。それが非常に気が抜けてて面白かった。ちなみにこの人もドイツ人。
T: 俺はね、後はアイヴィの「ロング・ディスタンス」。これもファウンティンズ・オブ・ウインズのメンツがやっていて、非常に心地よいギターポップですな。それとスティーリー・ダンの2枚組のベスト盤。これはリマスターされていて大音響で聴くと、いと気持ちよし。
E: 好きなレコードのリマスター盤とかリイシュー盤は、出るとやっぱ買っちゃうよねー。俺もスティーリー・ダンとかビーチボーイズとかずいぶん買い直したなぁ。なんかさ、1年に買うCDの、全体の3分の一か半分近くは昔のモノだったりしない?
T: 確かにね。
E: あと最近ホラ、アナログのジャケットをそのまま縮小したような、紙ジャケのCDあるじゃん。俺あれに弱いんだよねー。あれ、レコードのミニチュアみたいで可愛くない?
T: まぁねぁ(苦笑)いやぁー新しいのもね、音楽誌とかで話題になってたレディオ・ヘッドの「KID A」とかさ、一応聴いてみたりするんだけど、ピンと来なかったな。なんか、ダースベーダーが出てくるんじゃないかってくらいダークなんだよね。あれが時代を変える!みたいに騒いでたけど、皆、本当にそう思って聴いてんのか?って感じ。
E: ふ〜ん。俺はソレ聴いてもいないわ。あと新しいのねぇー・・・、スペアミンツの「オクラホマ」とかマイルスとか、ちょっと良さげなの買ってはみるんだけど、やっぱし全体的に面白いのは少ないね。
T: それとハイ・ラマズの「バズル・ビー」とステレオ・ラブの「マイクローブ・ハンターズ」も出たね。これは二つとも俺達の好きなバンドなんだけども、別に語る程でもなかったっちゅかね。あまりにも変わらなすぎる音だったから興味が薄れちゃったのかな?
E: う〜ん。聴くと、いいことはいいんだけど、そんなに積極的には聴きたいって欲求湧かないよね。ま、あの音に慣れちゃったっていうのはあるなー。どっちもワリともう、変わろうとしてないっていうか、もう専売特許みたいにずっとあれやっていくのもいいんだろうけど、驚きがなくなったよね。
T: ということは俺達は、ハイ・ラマズにはその時々の新しさってのを求めてたんだろうね。やっぱ「ハワイ」が出た時、あの時期にあの音、のったりくらりのメロディにバンジョーを入れたりって、すごい新鮮だったし。俺はビーチボーイズを全然聴いていないにもかかわらず、ものすごくハマったもんね。
E: そうね。あの頃、あーいう音をやってるのってハイ・ラマズだけだったもんね。あれ以後雨後の筍のごとく増えたけど。
T: う〜ん。どうも好きなバンドも失速気味だなぁ。これじゃ増々CD買わなくなっちゃうよ俺。
E: ほんと俺も昔に比べたら買わなくなったよCD。さっき、去年買ったCDのメモ見たら、10月以降って、買ってるの昔のばっか(苦笑)。高中、山下達郎、渡辺香津美にアール・クルーなんてのも買ってら。いつの時代のメモだこれは (笑)。
T: じゃあ、洋楽はこれ以上出てきそうもないので国内に目を向けてみようか。どう?邦楽の先ちゃんとしては?
E: うん。実は去年はね、ティンパンの再結成アルバムが・・・・良くなくてガッカリしたんだよね。昨年最大級のガッカリだった。
T: いまいちだったね。さっきも話したような、日本のロックの熱かった頃の音を期待しまくって聴いたからね・・・・。
E: 期待が大きすぎたのかも知れないけどね・・・・。なんかすっごい肩すかしくったみたいな気がしたね。
T: 1回通して聴いてガッカリ・・・・細野さんがやりたかった事はなんとなくわかるんだけど俺たちが求めてた音とは違うんだよね。
E: 昔の録音の音源が1番メインにきてたでしょ。なんか、新作でありながら、全体が未発表デモテープ集みたいな音質でね・・・・。今のティンパンの出す今の音楽をやってほしかったのにね。
T: やって欲しかったねー。多分、専門家的な聴き方をすれば、今の時代に何故この音なのかとか、いろいろ分析は出来ると思うんだけど、単なる音楽ファンとして聴く限り、別に今、あの音を望んでるワケじゃないし・・・・。
E: なんかやっぱしね、玄人相手にしすぎだよね。
T: ねぇ・・・・。じゃ、ティンパン以外だと?
E: う〜ん。飛び抜けてコレ!っていうのがないんだけど・・・・やっぱ99年に引き続き、サニーデイ・サービスが良かったかなぁ。「ラブ・アルバム」ね。
T: 「ラブ・アルバム」はいいねぇ。サニーデイは初期はフリッパーズ系の音から始めて、フォーキーなポップスやロックに行ったり、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら、気がついたらとてもなごむ、心地よい音を鳴らし始めて、これからすっげぇ楽しみだなーと思っていたら・・・・解散!
E: ・・・・しちゃったねぇ。残念だったけど、サニーデイは本当にもうやり尽くしたっていうか、みごとにやりきったと思うなぁ。なんかこう、ずっと聴いてきたファンとしては、惜しいとか、まだまだやれるのにーとはあんまり思わないんだよね。ほんとにいろいろやってきて、最後の2年、素晴らしいアルバムを2枚も残してくれりゃあもう、ファンとしては大ハッピーですね。
T: 俺さ、正直いうとサニーデイって、「ラブ・アルバム」で本当に好きになったんだよ。
E: 本当?じゃあ去年のアルバムの中では上位に入る?
T: うん。後で言うつもりだけど、1位か2位じゃないかな。
E: おースゴイじゃん(笑)。
T: いや、他にないからさぁ(苦笑)。
E: (笑)でも曽我部恵一の次の展開にすごく期待してますよ。えー、で、後は新人が何組か出てきてて、その中でもGO!GO!7188というバンドは良かったですね。この人たちはなんかのキッカケでドーンといくと思いますね。「こいのうた」はいい曲だった。
T: あぁ、あれは気持ちよかったですな。
E: あと、椎名林檎のパクリと言われ、物議をかもし出した矢井田瞳ですが、俺はすごく弁護するけどね。
T: ハハハハ。今でも好き?
E: 好き(キッパリ)。最近では違う部分もだいぶハッキリ出てきて、誰もパクリなんて言わなくなったよね。ま、本家がちょっと失速したっていうのもあるんだけど。でもやっぱりほんとにイイって思ったのは2ndシングルの「my sweet darlin'」からかな。
T: あー俺それ、サビが“ジャリジャリー”って聞こえて、ジャリジャリソングって覚え方してた(笑)。でも街中でデビュー曲とか流れてた時、「おっ、これは椎名林檎の新譜か」って思った事何度もあったよ、やっぱし(笑)。
E: まぁねぇ、あの曲はねぇ。レコード会社の売り方もそんな感じだったしなー。
T: あれは言われてもしょうがないんじゃない?歌詞のもっていき方とかもなんか、昭和初期のような、新宿系みたいな雰囲気バリバリあったし。ま、たまたま似ちゃったのかも知れんけど。
E: うん、あのね、もちろん椎名林檎の事はすげぇ意識してると思うよ。せざるを得ないと思う。でも、似た感性の同時多発ってのは絶対あるんだって。同世代だと表現方法が似てしまう事はあるんだよ。俺も最初の頃、鴨川つばめのマネだって言われたからね。矢井田瞳の立場には非常にシンパシーをおぼえるっていうか(笑) ・・・・ガンバレヤイコーッ!って、エールを送りたいキモチでいっぱいです。
T: (苦笑)わかりました。俺はあと、女性が一人でソングライティングしてる系でいうと、アイコ。ヤイコじゃなくアイコね。
E: アイコね。いいっすね。
T: 俺にとっての、椎名林檎亡きあと、唯一のミニ盛りあがりになって・・・・。
E: えっ?ミニモニ?
T: でたなっ(笑)。まぁ、それは後でたっぷり語らせてあげるから(笑)。で、アイコなんだけど、シングルがどれも抜群。
E: そうね。
T: 「桜の時」って曲をラジオで聴いて、いい曲だなぁーと思ってファーストアルバムを買ったんだけど、それはまぁ普通で。ところが「ボーイフレンド」だよ!あれ、俺の2000年のベストワンソング!あれはイイわぁ。
E: いいですね。アイコって、今後も超大ヒットとか失速とかなしに、今のクオリティーを保ったままでずーっといきそうだよね。
T: そうだろうね。なんかね、声が好きなんよ。艶があって、可愛いらしい色気がある。
E: で、メロディがすごく独特だね。作曲の才能すっごくあるよね。
T: あるね。あれはカラオケじゃ唄えんよ、みんな。
E: 俺、「カブトムシ」を一度カラオケで唄いたいんだけどね。ま、なかなかカラオケに行く機会も減ったけど。
T: カラオケなんて今でも行ってんの?
E: いやぁ、ほとんど行かないね。
T: あっ、キャバクラで唄ってんのか(笑)。
E: だからキャバクラも行ってないって!(声が裏返ってる)それにキャバクラでカラオケなんかやりません!(急いで話をそらすように)CD聴きながら唄うと難しいけど気持ちいいんだよね。メロディがコロコロ変わるじゃん。
T: うん。アイコの曲は転調が多いし、半音で変わっていくからね。あれは難しいよ。それを実に気持ちよい曲として聞かせるから、カナリの才能じゃないかと思ってるんだけど。で、ルックスも特別カワイくはないじゃん。
E: そだね。
T: だけど、特別カワイくない可愛さってあるじゃない。女の子らしい雰囲気とか、そういうとこに俺はグッときてるの。
E: (爆笑)グッときてるの?
T: あの「初恋」の裏ジャケの写真、スカートはいて足横にして座ってるやつ。もう、あれ・・・・たまらん。
E: あのスニーカーがまたね・・・・
T: いいんだよ。女子高生とも女子大生とも違う色気。あの写真、たぶんキライっていう男はいないだろうね。あれはもう、2000年のベストワン映像です。
E: ワハハハハ。またベストワン?でもあれももう、TOKIOのあいつのものになってしまいましたけどね(笑)。
T: それはワーストワンの話ですわ・・・・。
E: じゃ、次いこうか(あっさり)。邦楽、後はですね、キリンジがシングルをずいぶん精力的に出しまして、3〜4枚?ぜーんぶ良かったですね。で、最後にそれらをまとめたような感じのアルバム「3」が出たんだけど・・・・
T: あれは“スリー”ですか?“さん”ですか?
E: “さん”でしょう。たぶん。で、アルバムに入った曲はシングルとバージョンが違うものがあるんだけど、俺はシングルバージョンの方が好き。
T: 江口さん、ちゃんとシングル盤まで追ってるからね。さすが邦楽の先ちゃんですね(笑)。
E: あとはね・・・・って、俺ばっかり出してるけど・・・・
T: (笑)いいんだよ、邦楽はまかせてるから。
E: はい。じゃあ・・・・あと電気グルーヴの「VOXXX」がすごい良かったね。さっき話してたような事、YMOみたいなシャレっ気とか音楽以外のサブカルチャーっぽい部分を感じた。あそこまで大きい規模のものじゃないけど。久々に音楽聴いて笑ったもんね。「インベーダーのテーマ」とかね。すごいおかしい。曲の間に入ってるギャグとかじゃなく、曲そのものがオカシイからスゴイ。
T: なるほどね。
E: あとは やっぱし「細野晴臣BOX」ですか。
T: えっ?
E: これはもう、別格というか、番外ですけどね。実はティンパンのアルバムが出る前に、このBOXがキッカケで俺の中で細野のミニ再ブームがあったのね。高中再ブームの前に(笑)。で、これ聴いてつくづく思いました。細野さんって、漫画界でいうと手塚治虫に匹敵するね。
T: はーなるほどね。
E: 作品の質のみならず量もハンパじゃないところ、手法の多彩さ、前衛でありつつ大衆的下世話さもあるところ、あと作りとばしたようなものもあるところ(笑)などね。手塚治虫に共通するところ多いと思うな。俺は細野さんがたまに無責任にポップさを全開にする時が最高に好きなんだよね。
T: うんうん、わかる。それが、ミニマルとかアンビエントの方に行くと、ちょっと眠くなっちゃうんだよね。いい意味でのエキゾティックなトロピカル趣味がポップと融合した時にとんでもなくいい音創るよね。あー、俺も番外っていうか、隠れベスト物、1個あげると、パフィのベスト盤。
E: あー、あったね。「ザ・ベリー・ベスト・オブ・パフィ」ね。
T: 去年パフィは「スパイク」っていうアルバムも出しているんだけど、なぜにベスト盤なのか?と。それはですね。このベストを聴くと、奥田民生のメロディセンスの良さっちゅうのを痛感するのよ。
E: あーうんうん。民生ってさ、自分のアルバムだとそれをハッキリとは出さないっていうか、ポップになるツボをワザとはずしたり、ダルーい感じにしたりするじゃない。だけど、パフィだとその辺、遠慮なくやっちゃってるよね。
T: それ!それなんだよ!俺が言いたかった事は!
E: 無責任にポップじゃん(笑)。そこがイイんだよね。
T: そー!そー!(コーフン気味)奥田民生ってさ、シャイっぽいじゃん。何か恥ずかしがって自分のポップさを隠しちゃうんだよ。
E: 照れ屋さんなんだからっ(笑)。
T: ロックっぽくしちゃったり、ギスギスした音にしたりね。だけどパフィだと平気で地を出せるからバンバンいい曲を書いてる。それがベスト盤だとテンコ盛りなワケよ。もう、ポップの波状攻撃にあってメロメロになりましたわ。
E: しかも、ディスコとか、ビートルズとかの取り入れ方ときたらもう、世界的にみてもすごい水準でやってるよね。
T: ほーんとに。
E: 例えばこの前の「CAR SONGS OF THE YEAR 」に入ってる「And I Love Car」なんて曲はスゴイよね。見事にビートルズを消化しきってて、しかもちゃんと奥田民生。
T: そうなんだよ。そのアルバム、去年出てたら当然選ぶんだけど、今年だもんね。で、民生は去年「GOLD BLEND」というアルバムを出しているんだけど、江口さん、コレどうだった?
E: う〜ん。2、3曲は好きなのがあったけど、俺ね、民生のアルバムって、いつも買ってはいるんだけど、アルバム全体通してはあんまり聴けないのよ。さっきも言ったけど、あの人、自分のアルバムではポップさ前面に出さないから。民生が出すザックリした感じのロック感覚ってちょっと俺が苦手なタイプのもので、あんましノレないんですわ。
T: 男くささみたいなね。わかるわかる。俺も江口さんほど苦手じゃないけど、ルーズなノリのロックとかゴリゴリのロックンロールとかそんなに好きじゃないから、そっちの音が前面に出てた「GOLD BLEND」は、民生のアルバムの中では一番聴いてないね。
E: 奥田民生に関しては、曲単位で、たまにスッゴイ好きなものがあったりするって感じかな。たまにさ、ハッとするようないい曲を作るじゃん。「イージュー★ライダー」とかもそうだし。
T: もう、とんでもない才能だよね。そー言えば、渋谷の「唐そば」の主人って、ほんの少しだけ民生風な顔してない?
E: ・・・・そー言われればちょっと似てるかな・・・・って、そーやってまた道場やぶりに話をもっていくつもりかァ!
T: (爆笑)いやぁ、実は今日またいいラーメン屋みっけたんだよ。
E: またか!!でもそれは今度ねっ。

(2001年3月9日 寿スタジオにて)

(Part3)につづく