鮭が、生まれた川に本能的に戻るように、帰ってまいりました極楽CD!カム・バック・パラダイス!?
 寿スタジオのお茶会(なんじゃ、それ)でもラーメン話は出るものの、音楽話はほとんどナシというくらいテンションが下がっていた先ちゃん&徳さんですが、あることをキッカケにまたメキメキと音楽熱が復活中。あまりの放ったらかしぶりに、一時はコンテンツの消滅さえ囁かれていたものの、どーにかこーにかココまでたどり着けたのには、内輪ながらチョイ感動。
 熱く、とまではいきませんがちょうどイイ湯加減で2005年の音楽シーンを振り返っています。なにはともあれ、二人の久々の音楽話とかけあい漫才をお楽しみあれ!


E: いったい、いつぶりだ?
T: なんと、2001年3月ぶりだよ。
E: 5年も!!(驚)。ハァ〜・・・。
T: よくもまぁ人気コンテンツ(自称)をこれだけ更新もせずに放っておくよな。同じく放っておいた「ラーメン道場やぶり」は一足先に、4年ぶりに更新したわけだけど・・・と言っても内容は3年前の話だけどね(苦笑)。
E: だって「正直日記」やめて「日々メモ」始めるまでですら、2年間くらい空いてたんだもん。
T: ・・・オレたち、相変わらずグータラ兄弟ですな。
E: ・・・っていうか月日がたつのは早いよね・・・(遠い目)。
T: ウーン(シミジミ)。
E: 去年の年末に「江口寿史の正直日記」が発売されて、それに絡めて色々なところでサイン会やったでしょ。そのときに「極楽CDの更新、ずーっと待ってますよ〜」ってたくさんの人から言われちゃってさ。
T: そう言ってもらえるのは、ありがたいやね。
E: だから、「ヤルヤル!近々絶対更新するから」って言ったら、みんなスゴイ喜んでくれてさ。
T: 毎年言っているような気がするけど、今年こそちゃんとマメに更新しようよ。
E: そーだね。
T: そうそう、オレ今日、「唐そば」に行ってきたよ。
E: それを言うなら、ワタシは渋谷でのサイン会の時に「喜楽」に行きましたよ。その日はドカドカ雪が降っていたにもかかわらず、ちょっと並びましたよオレ。でもワンタン麺、旨かったー。
T: その日は俺も行ったけど、スープが絶妙な出来だったね。そういえば、江口さんは「喜楽」のモヤシそば食ったことある?
E: ウウン。モヤシラーメンって、どうもワンタン麺とかチャーシュー麺みたいにオレを惹き付ける何かがないんだよな。タンメンなら大好きなんだけど。
T: でも喜楽のモヤシそばにはモヤシを中心とした野菜炒めがドッサリのってて、それはそれはウマイんだよ(ウットリ)。それに、江口さんの嫌いなトロミのついた野菜あんかけ風じゃないよ。
E: そっか。それなら惹かれるね。あのシャキシャキのモヤシは旨いもんな。じゃ今度食べてみるわ。ってコレ完璧に「ラーメン道場やぶり」じゃん!音楽話にいかないじゃん!
T: ところで今日は、2005年に買ったCDについて語るってことでいいんだよね。
E: いきなりかいっ!なんか話、全然かみ合ってないぞ(笑)。
T: ハハハ・・・。
E: ま、一応、2005年に買ったCDリストからイイなと思ったものを書き出してきたけど、どれが一番っていうわけじゃないんだよね。
T: 俺もそうだよ。それに、最近は以前みたいなマニアックな買い方をしなくなったから、メジャーなものしか知らないんだよね。ポイントポイントは押さえているつもりだけど。
E: じゃ、そのリストをもとにダラダラと語っていきますか。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

     
T: そもそも5年間も「極楽CD」を放っておいた最大の原因って、俺らの音楽に対する興味が薄れつつあったからでしょ。前回の極楽でも、そういった発言がチラチラ出ているけどさ。
E: 確かに「正直日記」を読み返してみても、やっぱり99年頃から「音楽が、特に洋楽がツマラナイ」っていう文章が多くなっているんだよね。そして、その大きな要因っていうのは、その時代時代を表現した新しい音やジャンルが出てこなくなってたっていうこと。
T: 江口さんも俺もそういう音を探して聞くのが好きだっただけに、余計ツマラないって感じたのかもしれないけどね。70,80,90年代には絶えず新しいムーヴメントがあったり、新しい才能がポコポコ出てきたりしてたのに、00年頃を境にそういったものがバッタリ出てこなくなっちゃった。
E: 例えば、昔エレクトロニックやヒップホップに感じた「画期的な新しさ」みたいなものを持っているモノがね・・・なくなっちゃった。最近の音楽ってみんな昔の良いところだけを器用に取り入れているのばかりでしょ。
T: 編集は巧いけど、決して新しいものじゃないんだよね。
E: そうなんだよ。
T: それにちょうどその頃、俺は全く新しい仕事の準備に入ったワケで・・・。
E: この5年の間であなたはワイン雑誌の編集長になりましたからね。トークショーもやる名物編集長に。
T: ショーじゃなくて、講演って言ってよ(笑)。
E: ハハハハ。ショーと講演の違いって何?芸人と文化人の違い(笑)?
T: (苦笑)ですから00年頃からワタクシ、ハッキリ言ってカルチャーとかサブカルから遠ざかってます。それまではサカリのついた猿とか猫みたいに頻繁にCD屋や服屋へ行ってたのに。
E: それくらいワインにのめりこんでたし、まぁ、やることも山ほどあったからね。
T: そうは言っても、それが全くなくなっちゃうと自分じゃなくなりそうなんで、まだしがみついてはいるんだよ(笑)。
E: どっちなんだよ。
T: だからさ、前よりメッキリ回数は減ったけどCD屋へ行くことは行くんだよ。ある日突然ポコッとオオッー!となるような新しい音やアーティストが出てくるんじゃないかと期待して・・・でもな〜んにも見つからん(寂)。
E: そんな閉塞感たっぷりの数年を過ごしてきたわけですが、でも2004年くらいからまた音楽シーンがスゴクおもしろくなってきたと思わない?洋楽も邦楽も充実してきたっていうか。
T: 確かにそれは感じるね。だからひと頃のモチベーションの低さからは脱しつつあって、こうやってまた極楽をやろう、ってことになったわけだし。でも、それは新しい音やムーヴメントがボンボン出てきそうだという期待感じゃなくて、良いアーティストは良い音楽を作っている、ということに気づいたからなんだよね。
E: それにつきますな。やっぱ過渡期だったと思うんだよ2000年前後って。今、聞いてイイと思う人は自分にできる音楽をこれしかないよ!って感じでやってるよね。昔からずーっとやってる人も本来の自分の音楽を今また自信持ってやってる。そういった意味でもテイ・トーワの「フラッシュ」は見事だった。
T: おお〜っ!
E: らしさ全開。自分にできることをちゃんと精度をあげてやっているって感じがいい。職人な感じ(笑)。
T: なんか、良い意味で成熟したね。進歩を止めたというわけじゃなくて、自分の音を完全に確立したよこのアルバムで。これってテイ・トーワの最高傑作じゃない?
E: 少なくともオレにとっては05年のベストのひとつ。本当に良く聞いたよ、それにジャケットのイラストもいいよね。
T: きっとダレが聞いても心地良い音楽だと思うので、皆さんもぜひ。あと、アート・リンゼイの「ソルト・プラス・トゥー」も彼らしくて良かった。
E: 買うのならコーネリアスとコラボレイトした曲が入っている日本盤がオススメ。あの人ってさ、80年代にはギターをウニャウニャと妙に弾いてたよね。
T: ギターを効果音としてしか扱わないから、コードは弾かないんだよ。昔はかなりアバンギャルドだったけど今はもうすっかり落ちついて、彼のルーツであるブラジルっぽい音を出している。で、それが地に足が着いているって感じですごくイイ。
E: デヴィット・バーンのソロもけっこう気持ち良かったよ。オヤジの癒し系っていう感じで。
T: ベテランが肩の力を抜いて、だけどがんばっとりますな。
E: そうそう、2005年はベテラン勢がダダーッと立て続けに新しいアルバムを出したよね。
T: 山下達郎を筆頭にクラプトン、ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダー。
E: それにアースウィンド&ファイアー、ボビー・コールドウェル、あとブライアン・イーノも出たね。それらがみんなベテランらしいというかその人らしい作品で、全部良かったんだよ。
T: オレ、達郎以外は買ってもいないし聞いてもないぞ(笑)。
E: ポール・マッカートニーの「カオス・アンド・クリエーション・イン・ザ・バックヤード」はプロデューサーにベックとかも手がけているナイジェル・ゴドリッチという今の人を使ってるけど、まぁすごい普通に地味にいい感じになってるよね。そして若い。とても還暦過ぎたじいさんの音楽とは思えない。
T: やっぱりロックとか音楽をやる以上、絶えず前に行かないといけないから、ベテランのアーティストが若くて有能なプロデューサーを起用するパターンって多いよね。
E: サンタナとかも若いヤツとのフューチャリングばっかりじゃん。まぁ、それが結構よかったりするんだけど。本当に年寄りが消えない最近(笑)。
T: まぁ、江口さんもどっちかっていうと、年寄りのフィールドに入りつつあるワケだけどね(笑)。
E: やかましわ!ところで、何と言ってもオレの去年の音楽生活での最大のエポックといえばiPodデビューなんですが(ニヤニヤ)。
T: オッ、ソレ抜きでは語れないやね。でも、ある日忽然とiPodとiPod Shuffleだけじゃなく、新しいiMacのG5までもがズラッと揃っていたのには驚いたけど(笑)。
E: いやあ(照笑)、ずっと機を窺ってたんですがね・・・どうにもこうにも我慢できなくなって。G5も買いましたよiPod用に。回線もようやくADSLにしましたよiPod用に。アクセサリーもごっそり買いましたよiPodくん用に。
T: ハハハハ・・・もう、どっぷりハマりこんでるよね。でも、仕事をしながら音楽を聴くという基本的なスタイルは変わってないんでしょ?
E: ウン。だけど外出するときにもiPodを持ち歩くようになったから、結構いつでも聞いているって感じかな。
T: 持ち歩いて聞くなんて、最近やってないなぁ。
E: オレだってそんな気になったの久しぶりだもん。ホント、iPodのおかげで音楽の聞き方が変わったよ。それまではその時々の新しい曲をMDに編集したものやCDを仕事場で流していたけど、自分で録音したMDは曲順がわかっているし最長でも80分しかないからすぐに飽きちゃうんだよ。
T: いちいち取り替えるのも面倒だしね。
E: そうそう。ところが、iPodは15,000曲も入るから何十時間でも流していられるし、ランダムにしておけば次にどんな曲が出てくるのかわからない。これがね、またエライ新鮮なんですワ。
T: そりゃ、すげぇわ。ちなみに、今何曲くらい入ってるの?
E: 今は9,000曲くらい。でもそんなに聴けないというのもわかった(笑)。まぁ、ひと仕事の間ずっと流してても聞けるのは200曲くらいだから、まぁ、飽きるなんてことはないね。
T: ほーぅ。
E: 要は自分のCDライブラリーをどこにでも持ち歩けて、いつでも聴けるっていうことなんだけど、これってウォークマン以来の革命だと思わない?
T: ウンウン(激しく同意)。ホコリにまみれて聞きたいCDを探す必要もない・・・というか、CDを買わなくてもいいよね。だって1回iPodに入れちゃえば、わざわざCDを聞く必要ないじゃん。
E: だからよっぽど好きなアーティストの以外はレンタルするとかね。
T: そーだよね。
E: それに何がイイって、今の曲と昔の曲を同列に聞けるっていうこと。これがまたタマラナイのよ。
T: 拓郎の次にモー娘がきて、そのあとがビーチボーイズとか?
E: いやぁ、モー娘はもう・・・(照笑)。
T: ハハハハ・・・。でも音楽の聴き方変わるっていうのもよーく理解できるね。
E: そーなんだよ。だから昔聞いてたアルバムや曲の良さを再発見、っていうのが多くて。そうするとそのアーティストの違うアルバムも聞いてみようという気になって、ついついAmazonで注文しちゃうんだよね。
T: 最近、リイシュー盤が紙ジャケで出たりするじゃん。あれはもう買うしかないよね(笑)。
E: 間違いなく買っちゃう。俺達は結局、レコードジャケットにモノとしての価値を見てた世代だから。そんなリイシュー盤の中でも、佐藤博の「アウエイクニング」とブレッド&バターの「レイトレイトサマー」が出たのは嬉しかったな。
T: 「アウエイクニング」はオレも好きだったけど、ブレバタのは知らないなぁ。
E: 細野晴臣及びYMO、ユーミンたちとコラボしてるんだけど、細野さんが渋い職人仕事してるんだよね。
T: なんか想像つくよ。
E: ポール・サイモンにそっくりの曲があったり、いろんな人の音をモロにパクっているんだけど、その割り切っている感じがまたいいんだよね。この2枚は個人的には日本版AORの金字塔と呼びたい。ずっとCDになるのを待っていたんで、かなり嬉しかったよ。
T: フムフム。
E: それと、これはモロAORだけど、当時は全然知らなかったビル・ラバウンティの「BILL LaBOUNTY」も良かったな。そんなふうに、去年買ったCDの半分以上は昔のものだけど、なんかやけに積極的にAmazonで買っていたのよ。
T: オレは利用したことないんだけど、Amazonって便利?
E: CD屋にはないようなものでもすぐ見つかるし安いし、注文して2日後くらいには届くからすごい便利だよ。
T: iPodのおかげで CDの買い方も変わったってわけか。でも、昔のものでも良いものはイイからね。
E: そうなんだよ!ちゃんと作ってある音楽って古くならないんだよ。新しい曲と並べても全然聞き劣りしない、どころか輝いているんだよね。
T: それは大納得ですな。ところで、今は大きな新しい音楽シーンとかジャンルはないけど、強いて言えば80'Sリヴァイヴァルブームで、だからその頃の典型的な音のニューウェーブがプチ盛り上がりしているじゃん。そのあたりニューウェーブ親爺の先ちゃんとしてはどう?
E: 確かにポリシックスに影響を受けたという外国バンドがいたり、ディーヴォとかトーキング・ヘッズとか、いわゆる80'Sニューウェーブを再構築させたようなバンドが最近多いね。ドッグス・ダイ・イン・ホット・カーズとかフューチャーヘッズとかミラクルチョースケとか。
T: なんちゅうバンド名じゃ、そりゃ(笑)。
E: だけど、そういうバンドよりもポリシックスの去年出た「ナウ・イズ・ザ・タイム!」っていうアルバムのほうが全然イイ。これぞニューウェーブっていう感じで。
T: フーン。
E: あとはアメリカの、バンドなのかソロなのかわからないけど、LCDサウンドシステムっていう連中の「LCD Sound system」。この2つがダントツで良かったな。ニューウェーブとはいっても、ちゃんと今っぽいんだよ、何ていうか全部消化しているって感じでさ。
T: その流れでいくと、俺はフランツ・フェルディナンド。ファーストの頃からツボだったけど、去年出たセカンドの「ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター」は聞きまくったなぁ。
E: スカっぽいところもあったり、なんだかいろんなものをごちゃ混ぜにしたような感じのする音だよね。世間では80'sリヴァイヴァルブームの代表的なバンドみたいに言われているじゃん。
T: 確かにリズムの刻み方やギターの音色にそれらしいところはあるんだけど、俺には全然そう聞こえなくて、80年代の音を今風に解釈したまさにイギリスのギターバンド、っていう音だと思うんだけどな。
E: 徳さんの好きなブリットポップね。でも、何気にブラーっぽいところがあるんで、俺は苦手なんだけど。
T: よーくわかる。だから、コールドプレイの「X&Y」も多分江口さんの趣味じゃないと思う。オレにはツボだったけど。
E: うん。聴いたことない。
T: もうね、モロ寒い地方の音なんだよ。透明感があって良い意味で冷たい。
E: エコー&ザ・バニーメンっぽい?
T: それもありつつ、ボーカルの歌い方とか曲の雰囲気とかサビはU2。
E: あー、ダメ(笑)。そういう音は基本的に苦手なんだよー、ビョークも好きじゃないし。どちらかと言うとオレ的にはマルーン5のほうがピタっときたね。
T: 「ソングス・アバウト・ジェーン」は江口さんに教えてもらって聞いたけど、良かったね。
E: ジャミロクワイのポップさにスティーヴィー・ワンダーが絡むって感じで、ヒジョーにわかりやすい音。テレビCMで流れていたのを聞いて気になって買ったんだけど、これは当たりでしたよ。でも、このアルバムの発売は03年なんだよね。
T: だけど、CM効果もあってブレイクしたのは間違いなく05年だよね。アメリカではかなり人気あったみたいだけど、日本ではあまり知られてなかったし。
E: それから、若手のシンガーソングライターもたくさん出てきたでしょ。一番売れているのはジョン・メイヤーって人なんだけど、その流れで出てきたジェイソン・ムラーズっていうのも結構いい。ファーストでプチブレイクしたんだけど、セカンドの「MR.A-Z」っていうのがますますイイ。あと、何年かに一度「あからさまに才能のある」新人ってのが出てくるけど、ラウル・ミドゥンって人がまさにそれ。
T: どれも知らん。いやぁ、遅れとりますな。
E: でも、日本のロックもかなり充実してきてるよ。去年一番心に残っていると言えばやっぱり銀杏BOYZかな。自分がジャケットを手がけたっていうのもあるけど。
T: あの印象的なひばりくんのイラストね。あれはいいねぇ、ホレボレするよ。
E: オレが描いたのは「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」の方なんだけど、同時発売された「DOOR」のイラストも俺が描いたと誤解している人もいるみたい。
T: あれは誰が描いたの?
E: もともと銀杏BOYZのジャケットワークを手がけているイラストレーターの人みたいよ。オレのイラストのほうにはポップな曲が集まっていて、「DOOR」にはもっとコアな感じの曲が入っているんだけど、峯田くん(銀杏BOYZのボーカリストにて中心人物)はもっとハッキリとした色分けをしたかったらしいよ。
T: フーン。
E: 銀杏BOYZが俺なんかと決定的に違うのは、キレイな音の構築は絶対にしたくないってところ。要するに荒いというか粗いというか、生っぽい音にしたいんだけど、その荒さにめちゃくちゃこだわりがあるの。作り込まれた感じとか嘘っぽいのが徹底的に嫌いなんだろうな。それがこのジャケットのイラストを描いてよーくわかった。だって、何度も何度もダメ出しがくるのよ。
T: キレイに描いたらダメってこと?
E: ウン、峯田くんはそこにすっげぇキビシイの(泣)。俺はどちらかというと緻密に構築しながら描いていくほうだし、作り込まれた嘘も好きだったりするから。自分の思い描くイメージに拘るところは同じなんだけど、そのベクトルが全く逆方向っていうのが面白い。そこが俺なんかから見ると新しく感じるんだよね。最近の曽我部恵一なんかもその辺に影響を受けてんじゃないのかなぁ。
T: あぁ、俺もソロアルバムを何枚か聞いたけど・・・なんか痛いよね。
E: 最近どんどん音がザックリした粗い感じになってきてるんだけど、あの人の声にああいう音は合わないと思うんだけどな。ああいう声は緻密に構築されたキレイな音に合うのよ。だから、打ち込みとかでやるとスゴクいいでしょ。サニーデイ・サービス時代の「ラブ・アルバム」なんてめちゃくちゃ完成度高かったじゃん。
T: あの才能がもったいないよな。去年出た「ラブレター」も・・・ね(寂し気に)。
E: メロウな曲は相変わらずいいんだけどね。「ロック」をやられるとなんかキツイ。聴いてて。曽我部恵一にしか出来ない極上のポップスを聴きたい〜。ところで、徳さんはくるりの「NIKKI」は一応聞いてみた?
T: ウウン。その前のアルバムでもうファンを返上したんで。なーんか、だんだん落ちていくのがね。
E: う〜ん(ため息)。なんだろうね。曲はコンスタントにいいと思うんだけどね。デビュー当時の、とんでもなくソリッドでかつリリカルさが共存してた感じがなくなったよね。
T: だけど、なんといっても最大のガックリ賞はこれで決まりでしょう。オアシスの「ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース」!!
E: それだ!
T: でもこのアルバムがよりによって、ロッキン・オンの2005年のアルバム・オブ・ザ・イヤーで1位に選ばれているんだぜ。
E: エッ〜?コレが??・・・だめじゃん、ロッキン・オン。
T: 一応、私もオアシスファンですから、久々のアルバムだし喜び勇んで買いに行きましたよ。で、ワクワクしながら音が出てくるのを待っていると、でたぁ!いつもと変わらぬオアシス節。・・・でもそれが何の引っ掛かりもなく、淡々と終わってしまいました(泣)。
E: オレなんて3曲目くらいでもう止めた。それっきり(CDデッキに)乗せてない。
T: それでも2、3回は通して聴いてみたんだけどね・・・どうにも全身脱力。さらに追い討ちをかけるように、ティーンエイジ・ファンクラブの「マン・メイド」もイマイチだったんだよ〜。
E: 徳さん大ファンなのに!?
T: これも久々のアルバムだし、プロデューサーがジョン・マッケンタイアだって言うから、すげぇ期待するじゃん。だけど・・・曲も良くないし音もフツー。
E: 大好きなバンドの新作ってどうしても期待しちゃうから、その分落ち込みも半端じゃないんだよね。
T: そうなんだよ(大泣)。
E: そういえば、ケミカル・ブラザーズもジャミロクワイもベンフォールズもイマイチだったなー。
T: 俺は江口さんからそう聞いたから買ってもない。
E: ウィーザーの「メイク・ビリーヴ」はどうだった?
T: それは、良かったから聴いたほうがいいよ。あと、ベックの「グエロ」も。
E: 聴いたけど・・・俺はベックがあんまり好きじゃないってことに気がついた(笑)。それはそうと、マドンナの「コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア」って気にならない?プロモーションビデオもかっこイイし。
T: マドンナって確か俺たちと変わんない年だよね。
E&T すげぇよな〜。
E: 俺もピンクのレオタードにチャレンジしてみるか。
E&T ウハハハ・・・(大爆笑)。
T: ま、そんなガッカリもあったりしたけど、これまた大好きなバンド、ファウンテインズ・オブ・ウェインのB面曲および未発表トラックを集めた2枚組「アウト・オブ・ステイト・プレイツ」は良かったっす。
E: タヒチ80とかアイヴィーのプロデューサーをやっている人たちだよね。もうベテラン。
T: 新曲もいくつか入っていて、これがまたいいんだよ。もうね、見事なパワーポップ。この人たちはこういう音をやりたかったんだなって。
E: そういえばタヒチ80も「フォスベリー」ってアルバム出したよね。
T: 一応オレもリストアップしたけど、フツーに良かったって感じかな。
E: 俺も 数回しか聴いていないけど、イイ曲がいくつかあったから一応ipodには入れた。まぁ、ひとつ前のアルバムよりは良かったね。
T: ウン、だけど昔のタヒチ80は望むべくもなしだね。
E: そういえばさ、ニュー・オーダーも新譜出たじゃん。まさか、それもダメだったの?
T: いや、もちろん良かったよ。「ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール」はニュー・オーダー節全開の満漢全席で、ものすげぇポップ。
E: オレ、聞いてないわ。
T: ・・・(無視)。すごくイイんだけど、昔からの生粋の大ファンとしてはちょっとせつないんだよ、ポップすぎて。ニュー・オーダーってポップなメロディとヤケのヤンパチの演奏に、パンクじゃないけど昔からの脈々と引き継いでいるヒリヒリした音が入っているんだよ。だけど、今回のはやけに丸いの。
E: オッサンになったんじゃないの?
T: 確かにそうなんだけどさ。
E: ベスト盤もまた出てたじゃん。
T: 「シングルズ」っていう2枚組みね。ニュー・オーダーは新譜が出るごとに必ずそういうベスト盤が発売されるような偉大なバンドなわけです(鼻息荒し)。
E: ハイハイ。
T: そっちは素直にとても良かったよ。というのが「シングルズ」っていうアルバム名通り、シングルカットされたものばかり集めたやつなんだけど、初めて聞いたバージョンが何曲かあったんだよね。12インチは持っていても7インチは持っていなかったりするし、アルバムに入るのはリミックスされていたりして違うバージョンだったりするじゃん。だから、これは嬉しかったな。オレにとってはこれが05年の・・・。
E: ベスト?
T: ・・・それは、木村カエラ(ボソッ)。
E: えっ?
T: でも木村カエラのファースト、「カエラ」って正確には2004年12月発売なんよ。だからこれは番外編かな。
E: でもブレイクしたのは去年だよね。
T: だから、私にとって2005年のベストは木村カエラなんです。
E: 昔の林檎みたいに?
T: そこまでハマらなかったけどね。林檎は足早に駆け抜けていった感じだけど、木村カエラはオレの座標軸の中でとどまってくれるような、これは末永くつきあえるぞっていう印象があるんですね。
E: 俺のまわりでもイイっていう人はいっぱいいるし、なんで人気が出たのかはわかるんだよ。時代の顔をしているしね。だから気になって「リルラリルハ」は聴いてはみたんだけど・・・俺的にはイマイチ。
T: 民生が作った「ビート」は?
E: そういえば、聴いてすらない。
T: あれを聴けば結構スキになると思うけどなぁ。木村カエラは意外と声が野太いから、ロックっぽくて男っぽいパフィって感じだよ。
E: ふ〜ん。顔はカワイイのにね。本人の志向としてはロックっぽいんだ。
T: うん。とにかく、カエラはいいっす。
E: あれっ、でも徳さんちょっと前までYUKIがいいって言ってなかった?
T: ハイ、それはもう3年前から継続中ですから。おととし出たアルバムはイマイチだったけど、去年は「ジョイ」というとても良いものをリリースしてくれて、我が家のヘヴィローテーション。YUKIちゃんはきっとこれからもずっとスキだと思う。
E: ハイハイ。じゃ、民生の「Comp」は?
T: それははずせないでしょ。
E: うん。奥田民生はコンスタントに、オーソドックスにいい。そして、最近の若手は本当に民生チルドレンが多い!
T: だけどこれと言ってここで語るべきことはないんだよね。素直にイイってことで。ところで、江口さんはまだ林檎聞いてるの?
E: つきあいで買ってはいるけど、東京事変の今年出たアルバムは全然ダメでした。ファーストは結構良かったんだけどな。
T: ヒリヒリした音だけどポップで、いわゆる昔の良かった頃の林檎の片鱗を感じたよね。
E: 林檎の良いところをバンドで再現したって感じでね。でも、今回のは悲しいほど引っかかりなく通り過ぎていったよ。
T: どんなふうなの?
E: 一言でいうとジャジーで地味。メロディもジャズっぽくて全然ポップじゃないし、全部が平坦な感じ。林檎はまだ見捨ててないんだけど、ちょっとあれはキツイわ。
T: メンバーもごっそり入れ替わったよね?
E: もう椎名林檎が一人でやってもいいのに、なんだろうねあの試行錯誤ぶりは。
T: あのぉ・・・実は・・・女性ボーカルつながりで言いたいことがあるんですけど。
E: オッ、俺もあるある(ニヤリ)。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

       
T: じゃ、オレが先ねっ。実は去年ワタクシ、今さらなんだけど中島美嘉にはまりまして・・・。
E: わはは!中島美嘉って老けて見えるけどすごい若いんだよね。
T: オレさ、去年大ヒットした「NANA」っていう映画の主題歌の「グラマラス・スカイ」のサビのメロディにズッポリはまっちゃったのよ。
E: まさかその映画を観てハマッたとか?オッサンなのに。
T: 映画は観てないよっ!でもDVDはきっと観ちゃうね。間違いなく(笑)。
E: ははは!やっぱり。彼女はああいうロック系のボーカリストなの?
T: オレもその曲しか聴いたことがなかったんでそう思っていたんだけど、年末に出たベスト盤を買ってみたら違うんだよ。
E: そうなんだ。じゃハヤリのディーバ系?ミーシャとか系?
T: いや、全然違う。何て言うのかな・・・ロックでも歌謡曲でもないし、ひところはやった日本人なのにアメリカの黒人女性の真似して歌うヒップホップ系とも違う。ジャズっぽい歌もあればしっとりしたバラードもある。
E: ポップス?
T: どちらかと言えばそうかな。で、バラード系がすごいはまる。そんなに歌が上手いわけじゃないんだけど、味がある。
E: ってことは、今までいそうであんまりいなかった路線なんだ。
T: そうだね。
E: 強いて言えば、平井堅系か?あの人も歌謡曲じゃないR&Bでもない独自の路線じゃん。
T: あ〜ぁ、そうかも。メロディはあそこまでキャッチーじゃないけど、なんかジンワリとくる。透明感・・・というか良い意味でクセがなくてね、何回聞いても飽きないんだよ。
E: イギリスっぽいとかでもなくて、中島美嘉ってジャンルなんだ!?
T: そうそう、それで日本なんだよ。
E: へーっ。そこらへんのJポップとは違うみたいだね。オレも聴いてみようかな・・・・。(絶対聴かなそう)
T: ところで、先ちゃんのは誰よ?
E: エヘヘヘ・・・(モジモジしながら)コウダクミ。
T: ・・・・・・・・。
E: あのいやらしい感じがさ・・・ずっと気になっていたんだよ。歌はどうでもいいんだけどさ。
T: なんだよ、それ(爆笑)。
E: でさ、DVD付きのベスト盤が去年の9月に出たじゃん。もう観たくて観たくて仕方なくて(身もだえしながら)。CDの方はどうでもいいんだけどね(笑)。
T: そっちが目的か。
E: それまで動く倖田來未を見たことなかったし、そもそも「コウダミク」だと思ってたくらいだしさ。で、スゴイ恥ずかしかったけど買ってしまいましたっ。
T: どうだった?
E: CDは一度も聴いていませんが、DVDはイイっす!!
T: ウハハハハ・・・。
E: あの人ね、イイわぁ。すごい自分をよくわかってる。美人ってわけじゃないんだけど、かわいく見えるんだよ、めちゃくちゃキュート。で、下世話にエッチなんだけどあそこまで徹底してるとカッコイイのよ。
T: じゃ、CD聴きなよ。
E: DVDで聴いてるもん。で、何度も言うけど、曲はどーってことないのよ。みんな同じだし。
E&T (爆笑)ウハハハ・・・。
E: ちょっとかすれた声もイイんだよね。「キューティーハニー」のプロモで、イントロから唄い出す直前に顔と肩でリズムとるんだけど、あの瞬間のキュートさは今までちょっと見た事ないね!
T: う〜ん・・・観てないから何とも言えんけど、それはちょっと江口さんにしかわからないとこかもねぇ。
E: 人を変態みたいに言わないでくれよお〜。突き放さないでくれよお〜。
T: (苦笑)ま、でもレコード大賞だもんね。
E: えっ、そうなの?
T: それも知らんのかいっ。だけど、シングルCD12週連続発売とか、レコード会社のやりすぎ感が強いのがイヤ。もちろん彼女は悪くないんだけど。
E: ウン、悪くない(キッパリ)。でも確かに曲がもっと良ければなぁ・・・。あれじゃあピンクレディ級にはなれないわなぁ。
T: 先ちゃんには必ず毎年、そういうわかりやすいのが出てくるよね。
E: そう言えば99年頃はモーニング娘。に盛り上がっていたっけ。でも今はもう・・・残骸?みたいになっちゃった。オレ、つんく天才!とか言ってたのに(笑)。
T: まぁ、あれはあれで時代だったから。もう息切れ状態だけど、まだ続いているっていうのはある意味スゴイ。
E: でも、もうあの頃の輝きは・・・
T: やっぱ旬があるでしょ。
E: だけど、それが過ぎて、また自分ができることをちゃんとやっている人は残っていくんだよね。ここ2、3年のユーミンもそうだし、達郎なんかはずーっとそうやってきているじゃん。
T: おっ、その名前が出たところでいよいよ「ソノリテ」について語りますか。
E: そういえば徳さん、イマイチとか言ってなかったっけ?
T: イヤ、実は・・・それ、返上します。やっぱいいわ〜。
E: でしょ(少し得意気)。
T: 達郎のアルバムはいつも発売されると同時に買うんだけど、いつもは俺の琴線に引っかかるフックを持っためちゃくちゃいい曲が必ず2、3あって、それだけで「なんていいアルバムなんだー」ってなるんだよ。ところがソノリテはもちろん佳曲揃いだしクオリティも高いんだけど、いつものようにグワッと鷲掴みにされるものがなかったのよ。
E: でも達郎のって、聴く程にどんどん良くなっていくんだよね。
T: そうなんだよ、ものすごいレベルの高さ。やっぱ、アノ人すごいわ。
E: 全部が高クオリティだから曲の差がなかったり、目立ったものがないなと思ったりするんじゃない。ひとつひとつの完成度がめちゃくちゃ高過ぎるんだよ。
T: ウンウン。
E: 何かのインタビューで、美味いものを食わせてくれる料理人とかにシンパシー感じるから職人になりたいって言ってたけど、もうとっくにその域だよね。
T: 同感。
E: ここ30年くらいペースを変えないで絶えずリリースして、しかも確実に100万枚とか売れる。こういう人は他にあんまりいないでしょ。
T: あとはサザンくらいかな。昔から良さは認めつつも、個人的には好みじゃないんだけど。
E: サザン。大好きな曲はいっぱいあるし、桑田圭祐の才能はめちゃくちゃ認めつつ、オレもiPodには何故か入れてないけど(笑)。
T: 達郎のはもちろん入れているんでしょ?
E: 全アルバム制覇です(キッパリ)。達郎は何年あけても、出すとちゃんと売れるのがうらやましいよなあ。オレのは売れないもん。
T: 違うよ、描かないからだよ。
E: ・・・・・。
T: 描けば売れるのは客観的に保障するけど、描かないからね先ちゃんは。達郎みたいにコンスタントに、だけど完成度の高いものを2年に1度は必ず出すようにしないとね。
E: ・・・ハイ。じゃ、私も自分のできることから、きちんとやっていくようにしますかね。そういえば、サンボマスターの山口くんは達郎の大ファンらしいよ。シュガーベイブとかも大好きだったみたい。
T: なるほど、あのポップさはそこからくるのか。ギターも鋭いし音圧の高いロックの音だけど、どこかポップさがあるもんね。
E: コードもシャレてるし。
T: ドラマの主題歌に使われたりして最近知られだしてきてるから、今後ブレイクするんじゃないかな。
E: キャラ立ってるしね。あの顔でロックってのがね。去年アルバム出たけど、あれも安定して良かったし。
T: ブサイクなのを売りにしたジャケットもいい(笑)。
E: 「クイック・ジャパン」の、達郎と山口の対談が面白かった。山口が達郎に、あんなにタイアップがついた曲ばかりで怖くないのか、とか青いことを聞いてたよ。俺は絶対イヤっすね、とか(笑)。
T: そういえば、ソノリテはほとんどタイアップ曲だったしね。
E: 彼は曲を消費されるのが怖いらしいんだけど、達郎は「消費されればいいんじゃない、消費されたあとに何かが出てくるんじゃないの」って。
T: さすが達郎。大人だし、奥が深いわ。
E: うん。大人はいいね。いい大人になりたいもんですよ、うん。あとはですね・・・、えー、森山直太朗がやっぱいいですワ。
T: そういえば、日々メモでも少し触れていたね。
E: 去年の6月にはベスト盤も出たんだけど、11月に出たシングルの「風花」という曲が、ニューロマンティック調のティアーズ・フォー・フィアーズみたいな感じでいいんだよね。でね、そのB面が・・・。
T: B面て。お願いだからカップリングって言ってくれー。
E: ワハハハ。で、そのカップリング曲の「君とパスタの日々」って曲を聴いたとき、もう大笑い。サビでパスタの名前を羅列するんだ、カルボナーラ、ペペロンチーノ、和風〜タラコ〜とか(笑)。
T: なんじゃ、そりゃ。
E: ビックリしたわ。それで、よくよく彼の歌詞を聞いてみると、みんな変なんだよ。かなり壊れたっていうか、独特な視点を持っているの。
T: 俺は「さくら」しか知らないけど、あの詩はごく普通に聞こえるじゃん。
E: でもアレ以外はみんなちょっと変。今までの常識だと、とてもポップスにはのらないだろうって言葉を平気で使って曲として成立させてる。宇多田ヒカルにもそういう部分では共通するものを感じるけど。
T: ふーん、全然世間のイメージとは違うよね。
E: でも、あの才能はスゴイと思うよ、曲の引き出しもとても広い。最近のカラオケの十八番です。
T: さすが邦楽の先ちゃん、幅広く網羅してますな。ところで、新人ではいいのあった?
E: オススメはエルレガーデン。俺が注目しているだけあって、最近売れてきましたよやっぱり(笑)。去年出た「RIOT ON THE GRILL」は聞いていて気持ちいいんだよね、曲がポップだし。あとはハーバードっていう京都のバンドの「ORACLE」っていうのも・・・。
T: あ〜!それよかったね。
E: それから、新人じゃないけどレイ・ハラカミの「lust」も良かったなぁ。
T: 俺はそれのジャケット写真にやられた。単なる日本の家がある風景なんだけど、なんだかいい映像だよね。
E: 音楽もそんな感じだね。分かりやすいわけじゃないんだけど、なんか気持ちイイ。
T: 全然派手でもポップでもないんだけど、ジンワリといい。そういうアルバム。
E: あと、気になるのは湯川潮音
T: 湯川トーベンの娘がデビューしているっていうのがスゴイっていうかショックだったよ。年をとるわけだよな、オレたちも。
E: まずは「リンダ・リンダ・リンダ」っていう映画でその存在が気になったんだけど、CDを試聴してみたら、くるりの「ランチ」って曲をカバーしてるのね。オレその曲大好きで。へぇ〜、そういう系統なのかと思って。そしてそれがすごく良かったんだよね。まだハマルまではいっていないけど、ジワジワと良くなりそうな気がするね。ところで徳さん、オレンジレンジってどう?
T: オレは全然ダメ。
E: そうだよね。でもウチの娘とか嫁は大好きで、しかも巷でも結構評価高いみたいだけど、どの曲も聞いたことあるような、っていうレベル以上のものを感じない。
T: だって、すげぇパクっているじゃん。
E: そうそう。80年代っぽいというか、ニューウェーブぽいっていうか。
T: 沖縄出身にしてはそれらしくない軽さがどうも・・・。
E: でも、そのオレンジレンジで曲を作っている奴の双子のお兄ちゃんがやっている琉球ディスコというテクノバンドは結構いいんだよ。琉球音楽とテクノを混ぜたような感じで。
T: 昔、細野晴臣が琉球音楽っぽいのやっていたけど、そういう感じ?
E: ああいうポップとして完成されたレベルではまだ全然なくて、もっと地味。もう少しポップさが出てくるともっといいんだけど。でも石野卓球とやっている曲はめちゃくちゃ良かったよ。
T: (先ちゃんのリストを覗きこみながら)このAKUFENって人は?
E: カナダ人のDJみたいで、この「FABRIC 17」っていうアルバムは多分いろんな人の曲をリミックスしたものを集めたやつだと思うんだけど。
T: どういう音?
E: 今の時代のスピードの早いテクノなんだけど、とにかくものすごく気持ちよくてよく聴きましたわ。でもコイツが何者なのかは全然わからない(笑)。オリジナルアルバムも聴いてみたけど、このリミックスアルバムのほうが断然よかった。
T: フーン。
E: あとは、くるりがやっているレーベルから出ている、ウィリー・ワイズリーって人の「SHE」も良かったよ。これは去年発売じゃないんだけどね。
T: 全く知らん(笑)。
E: この人は多分アメリカ人なんだけど、結構引っかかりのあるオモシロイ音なんだよね。昔のトッド・ラングレンみたいな箱庭的な音がする。
T: そういえばトッド・ラングレンの2枚組アルバムも出たよね。
E: 俺さ、これまであまりマジメにトッド・ラングレンを聞いたことなかったんだけど、この2枚組をちゃんと聴いてみたらすごい良かった。
T: めちゃくちゃポップだよね。でもこうやって振り返ってみると、オレ、ほんとにCDを買わなくなったなー。昔は年間300枚くらい買っていたけど、今は50枚くらいじゃないかな。
E: 確かに、昔なら迷わず飛びついているようなものでも買ってないの多いよね。
T: 今話題のアークティック・モンキーズのシングルも、良いジャケットだなぁとCD屋でシゲシゲ眺めて終わりだったし(苦笑)。
E: 「アイ・ベッド・ユー・ルック・グッド・オン・ザ・ダンスフォロア」でしょ?ワタシはこれ、久々にジャケ買いしましたよ。パンクに何かをプラスしたっていう感じなんだけど、この曲はイマイチだった(笑)。でもアルバムはちょっと聴いてみようと思っているんだけどね。
T: ベイビー・シャンブルズも買ってないし。
E: ん?それは知らん。ザ・ストロークスはどう?買ったのにまだ聴いてないんだけど(笑)。
T: 今ヒットしている曲はカッコイイんだけど、それだけ。それにあのボーカルはU2をもっと湿らせた感じだから、江口さんの好みじゃないかもよ。
E: ファーストも1曲目はオッという感じだったけど、それ以外はあんまり記憶に残っていないんだよね。
T: 悪くはないんだけど、良くもない。聴いていると飽きちゃうんだよね。まぁ旬のバンドだし、自分も追いつかないとマズイと思うんで無理して2、3回聴いたけど、疲れたよー。
E: なんかさ、もうそういうのは聴かなくていいよね。昔は、みんながイイと言っているのに自分はそれほどでもなかったりすると、俺だけわかっていないのかと思ってムリして聴いたりもしたけど・・・。もう今は自分のわかるだけでいいや、と。
T: 絶えず最新情報を知ってないと乗り遅れるとか、自分だけわからないのはイヤだから無理して聞くって、強迫観念以外のなにものでもないよね。
E: 願わくば他人よりちょっとでもリードしておきたいみたいなね。
T: そうそう。でも江口さんが言うように、今は自分の感性で好きなものを聞いているのが一番幸せ。たそがれましたわ。
E: でもそれが一番正しいよね。ある意味、強迫観念で聞いたり揃えたりするっておかしいじゃん。本来の意味と違う。
T: 江口さんにとって音楽ってもう生活の一部、どころか糧になっているでしょ、仕事中は必ず聴いているわけだし。
E: まー、そうだね。落ち込んだ気分が音楽でパっと晴れる事は多々あるわけだし。
T: でも俺はね、今でも音楽はやっぱり好きなんだけど、これまでスキだったのは新しい音を知りたい、もしくは揃えたいという収集欲を満たすような部分が大きかったんだと思うんだよ。だから絶えずアンテナを張り巡らせて新しいのを見つけては喜んで聴いていたしね。でもこの5年の間に、確かに音楽は生活の一部なんだけど、肉にはなっていないってことがよーくわかったんだ。だってワイン関係のこと始めたら、バッタリCD買わなくなったし、アンテナを張り巡らせるのもやめちゃったし。
E: 生活の中で音楽を聴くというのがあんまりなくなったの?
T: 家ではもちろん聴くけど、前に比べれば確実に減ったよ。それにあの雑誌出し始めてからウチにいる時間がすごく短くなっちゃったし。
E: まぁ確かに文章を書いたり考え事をしているときには、音楽は邪魔になっちゃうしね。
T: ウン。明らかに昔に比べて情熱が冷めているのは確かなんだけど、良いものは聴きたいっていう気持ちはあるんだよね。だから、今日もなんだかんだ言いながらも語れる分くらいのCDは出てきたから、やっぱり音楽は好きなんだなと。それと同時に、昔から好きなものが今でも好きだということがハッキリしたよ。
E: オレも良いものは時を経てもいいっていうのが最近よーくわかった。昔は古いCDを引っ張り出して聴くなんてなかったけど、今はiPodで普通に聴いてるし。
T: 昔は絶えず新鮮な音やアーティストが出てきていたから、それを聴くだけで十分だったけどね。
E: まぁ、音楽を楽しむ幅が広がったってことだよね。
T: だから、開き直るつもりはないんだけど、今は正しい聴き方しているなっていう気がしているよ。それと同じなのがファッションで、昔はやっぱり絶えず流行を取り入れたものを着ていたいっていうのがあったんだけど、ここ5、6年は自分のスタイルが確立されちゃったからもう流行は追い求めない。自分が好きなブランドのを買うだけでいいやっていうね。
E: オレもあんまり買わなくなったよ。あと映画もそうだよね。昔の名画、たとえば「大脱走」を観てないと言うと、信じられないって散々同世代の友人から言われるわけよ。そこまで言うのなら観てみようと思って、何回かレンタルしたんだけどいつも観ないで返しちゃう。しかも延滞するから高くつくのよ。
T: ふんだりけったりじゃん(笑)。
E: 結局DVDを買ったほうが安いんで手に入れて観てみたんだけどさ・・・。
T: どーだった?
E: もちろん、つまらなくはないの。でも、なるほどって思うだけなんだよね。
T: それ、わかるな。
E: 自分が自分自身で選んで経験してこなかったものって、この歳になって人に薦められてもダメなんだよね。だから、もういいやって。
T: 本当にそれでいいよね。他人に好みを押し付けちゃいけないんだよ。ただ客観的にダレもがいいというもので、その人もそう思うんだったら教えてあげてもいいのかもしれないけれど。
E: 自分にとっては、自分がこれまで見てきたものが正しい。オレがU2をダメなのと一緒(笑)。
T: 江口さんとオレは音楽の趣味がかなり似ているとはいえ、細かいところは全然違うじゃん。タッチの差で江口さんにとっては好みじゃないけど、オレにとってはモロ好みだったりとかね。そういうもんだから、人それぞれ自分の好きなものを聴いていればそれでいい。
E: これがわからないとマズイんじゃないかっていうのはなくなったね。
T: 音楽はわかるかわからないかじゃなくて、好きか嫌いか。だから、木村カエラも中島美嘉もゴリ押ししていないでしょ。
E: このへんはお互いに変わりましたな。徳さんも5、6年前までは、新しいものを見つけては人に教えるの大好きだったじゃん。オレにCDを買ってきて、これいいから聴いてみてよ〜なんてよーくやってたのにね。
T: なんかシミジミしてきちゃったよ。
E: ハハハハ・・・。でも、こうやって振り返ってみると徳さんはやっぱり外国のが多いね。
T: 洋楽の徳丸ですから。
E: 邦楽の先ちゃんですから。
T: (笑)わかってるから、負けずに言わんでいいって。
E: 今日は5年ぶりっていうのもあって、どうしても淡々としたノリの語りになっちゃったね。昔はひとつのアルバムについてヤケに熱く、延々と語ってたけど。
T: まぁ、しょうがないよ。今回はベスト10とかじゃなくて、1年間で良かったCDを網羅的に話してきたわけだから。
E: きっとそういうのもみんな知りたいんじゃなかろうかと。
T: ウン。
E: 押し付けはよくない、って話をした舌の根も乾かないうちに何ですが、なんかしみじみ終わりそうなんで、世の男性諸君!倖田來未はいいぞ!徳さんもDVD観てごらん!
T: それは・・・素直に・・・押し付けられてみますワ。
E: 絶対観なそうだな・・・(笑)。

(2006.3 寿スタジオにて)


 そうですか。2005年は木村カエラ&倖田來未ですか。
 椎名林檎のエロ&才能に酔いしれ、モー娘。の下世話なカッコよさにシビれて、アイコの可愛らしい色気にノックアウト・・・。と、毎年必ず二人の心をガッシリ掴むオネーサンたちが出てくるのが不思議といえば不思議。っていうか、探し求めているから見つかるのか。
 そんな愛すべきオヤジ二人に励ましのメールなぞいただけると、とても嬉しゅうございます。そのときに極楽CDの感想などもチラッと添えていただければ、次の更新が早まるのではないかと(他力本願丸出しでスンマセン)。それでは、また近々お会いできることを祈りつつ・・・。



先ちゃんの2005年良かったCDリスト(順不同)
フラッシュ
/テイ・トーワ
ソルト・プラス・トゥー
/アート・リンゼイ
ソノリテ
/山下達郎
君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命/銀杏BOYZ
DOOR
/銀杏BOYZ
LCDサウンドシステム
/LCDサウンドシステム
ナウ・イズ・ザ・タイム!
/ポリシックス
ソングス・アバウト・ジェーン/マルーン5
FABRIC 17
/Akufen
ア・タイム・トゥー・ラヴ /スティーヴィー・ワンダー
イルミネーション /アース・ウィンド&ファイアー
アナザー・デイ・オン・アース/ブライアン・イーノ
Mr.A-z
/ジェイソン・ムラーズ
ステイト・オブ・マインド/ラウル・ミドゥン
ORACLE
/ハーバード
アウエイクニング
/佐藤博
(リイシュー盤)
レイトレイトサマー/ブレッド&バター(リイシュー盤)
BILL LaBOUNTY/ビル・ラバウンティ(リイシュー盤)
SHE
/ウィリー・ワイズリー
lust
/レイ・ハラカミ
傑作撰2001〜2005
/森山直太朗
RIOT ON THE GRILL
/エルレ・ガーデン
琉球ディスコテック
/琉球ディスコ


徳さんの2005年良かったCDリスト(順不同)
フラッシュ
/テイ・トーワ
ソルト・プラス・トゥー
/アート・リンゼイ
ソノリテ
/山下達郎
カエラ
/木村カエラ
コンプ
/奥田民生
X&Y
/コールドプレイ
メイク・ビリーヴ
/ウィーザー
ベスト
/中島美嘉
ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール/ニュー・オーダー
シングルズ
/ニュー・オーダー
アウト・オブ・ステイト・プレイツ/ファウンテインズ・オブ・ウェイン
ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター/フランツ・フェルディナンド
グエロ
/ベック
フォスベリー
/タヒチ80
JOY
/YUKI
IN THE CLEAR
/IVY