タイトル

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
第6回 第7回 第8回前編 第8回後編 第9回


 寝て待ってたカイがあって、果報が歩いてやってきた(?)。予告の通り、道場やぶり史上初の遠征編!脈々と流れる悠久の時間の中で、確立された独自の食文化を持つ街、京都。そこではどんなラーメンが待っているのか?……さぁ着いた着いた、いざ行かん!

E: のっけからなんだけど、まだ4回めなんだねー。
T: 3回で終わっちゃうと誰かの漫画と一緒だから、最初のハードルは越えたって。でも4回め、なのね(笑)。
E: もうずいぶんやったような気がするんだけどな。
T: いやぁ、1回で語ってる量が多いからそういう気になっちゃうんだけどね。で、今回は特別編で・・・いよいよ海外遠征編!!ちゅうことで。
E: わはははは。海は越えてないって!
T: ははは。そうか。じゃ、地続きの遠征編ってことで・・・・京都に行って来ました。(ニッコリ)
E: 行って来ましたね。桜・・・・キレイだったね・・・・。(遠い目)
T: 京都といえば江口さん、昔、「天下一品」(京都に総本店があるラーメン屋)のこと漫画で描いてたじゃん。あの漫画で「天下一品」を知ったって人、俺のまわりでもけっこういるんだよね。俺もそれすごく印象に残ってるんだ。
E: (照笑)あっ、そう?あの頃まだ知る人ぞ知るって感じだったからね・・・。
T: 江口さんが「天下一品」(以下、天一と略)を知ったのっていつ頃?
E: 初めて食ったのはね、82年の秋。
T: (笑)いっつも思うんだけど、江口さんって、いろんな事を西暦で覚えてるよね。世間話とかしてても、いつもサラっと出てくるじゃん。すげーよな。
E: へへへ。なんでかというと、82年って俺、ある編集長とカケをして負けてさ、坊主頭になった年なのよ。
T: あ〜、あれはカケに負けて頭丸めたんか(笑)。
E: そう。週刊連載してて、次、落としたら坊主になるって編集長に宣言したら、念書書かされちゃってさー(苦笑)。で、やっぱり落としちゃって、約束どおり坊主にしましたよ。スッパリと。その頭で京都に行った記憶があるからなんだよね。
T: ほーう、そうやって出来事と関連づけて覚えればいいのか。(マジで感心)
E: で、その時に京都の知人に連れてってもらったのが「天一」。いやぁビックリしたねぇ。スープはドロドロしてて、箸が立つんじゃないかってくらいだしさ。客みんな、ネギを鬼のようにのせて食ってるし。ナニコレ?って感じだよ。それまであんなラーメン、見た事も食った事もなかったもん。ラーメンの固定概念覆されたよ。
T: 確かに20年前にあのラーメンは衝撃的だったろうな・・・・・で、旨いと思った?
E: や、旨いとかよりとにかくそのインパクトが(笑)・・・・・でも、もう1度食いたいと思わせる何かはあったね。どっさりのせる九条ネギはおいしかったし。ここでしか食えないっていう強烈な個性があったから。
T: そうか・・・・じゃ、あの漫画を描いたのはその頃?
E: いや、あれは85年の春。
T: わはははは。やっぱ西暦・・・・・。
E: (笑)そいでさぁ、その後2〜3回京都行く度に食べて、すっかり「天一」のトリコになって。で、その京都の知人は後に転勤で東京に引っ越して来るんだけど、その彼と“天一を東京に呼ぼう会”を作ろうぜーとかって盛り上がってたんだけど、まもなく東京に出店しちゃった。・・・俺、東京のは食ったことないんだけど、徳さん、ある?
T: あるある。でもね、かなり違うよ。スープのドロドロ具合とか、みてくれとか、基本は一緒なんだけど、大切な何かがいくつか欠けてるって感じ。
E: なるほど・・・・京都でも支店によって違うもんね。
T: やっぱりチェーン展開してどこでも食えるようになっちゃうとね、便利な反面やっぱり何か大切なものが薄まっちゃうんだよね・・・・これはどんなジャンルでも一緒だと思うんだけど。
E: 本当にそうだよね。で、俺は白川通りにある総本店で初めて食ったんだけど、徳さんの「天一」初体験はいつ?
T: う〜ん、とねぇ、確か最初に食ったのは・・・・・。
E: ほらほら俺みたいに西暦で言ってみ(笑)。
T: えっと、出来事と関連づけて・・・ブツブツ・・・88年! (爆笑)やってみれば思い出せるもんだのー。
E: (笑)でしょ?その頃はもう人気っていうか、定評あったかな?
T: うん、そうだね。でも俺が最初に「天一」の名を聞いたのは故郷九州でなんよ。友達がたまたま京都に行った時食べたらしくて、そいつに『いやぁー徳、京都のラーメンはすっげぇ旨いよ』って聞かされて、それで頭にインプットされたんだね。
E: 京都のラーメンって言えば、その頃東京で“京風ラーメン”って、やたら流行ってたよねぇ。「あかさたな」とか「花ぐるま」とか言っちゃってさ。うす味の澄んだ醤油スープでお上品な感じでさー。あれ全然ウソだよなー。
T: ウソウソ。あれは東京人が勝手なイメージで作った“京風”だかんね。あんなもん、京都にはない!(断言)
E: そうそう。京都のラーメンって、アッサリとかうす味ってイメージだけど全っ然違うよね。
T: ラーメン以外でも、むしろパワフルなのが圧倒的に多いよ。みんな本当に誤解してる。
E: 日本人でさえ京都っていうと「舞妓さん」と「お寺」だもんね。外人が「スシ」「ゲイシャ」っていうのも無理はない。
T: ははは。でね、5〜6年前かな、屋台でものすごく旨いラーメンがあってさ・・・・「御池(おいけ)ラーメン」っていうんだけど・・・・・
E: あー!一時、徳さんよく言ってたよね。俺はついに行けずじまいだった・・・・・。
T: それまで、京都=「天一」だと思ってたワタシは・・・・もちろん他の味のラーメンもいろいろあるとは思ってたけど、それでも本当にビックリした。
E: それもすごい個性的な感じなの?しょうゆ系?
T: いや、屋台で夜だからスープの色はイマイチはっきりとはわからないんだけど、白濁系で、味は「天一」ほど濃厚じゃなくって、すごい滑らかでクリーミーなスープなんだよ。ちょっと甘めでね。それがもう、めちゃ旨!!主人もすごく志を高く持っているという雰囲気の、いい感じの人でさ。だけどある日突然、屋台がなくなっちゃってて・・・・・
E: だったね。店を出したんでしょ?
T: そうなんよ。だけどその店も、いろんな(ここでは書けない)事情があって閉めちゃってね。今はもう食えないんだよ。食い物の旨さって、思い出になると美化されがちだけど、それはそういうんじゃないんだよね。本当に、願わくばもう1度あのラーメンを食いたい。そしてみんなにも食べて欲しかった味でした・・・・本当に。
E: う〜ん。残念な話だねぇ。きっと才能あるラーメン職人だったんだろうにね・・・・・。
T: へい(やや感傷気味)
E: シミジミした所で、そろそろ本題に入ろうか。京都編。まずは「新福菜館」と「第一旭」!共に本店!えー2年前、サイン会で行った時に初めて食べました。
T: 俺も江口さんと行った半年くらい前に初めて食べたんよ。それまでも河原町にある支店の「新福菜館」では食べたことあったんだけど、何かイマイチだった。でもそこはね、なんとゆで玉子が食べ放題。
E: ゆで玉子食べ放題!なんだそれは!?そりゃまたすごいサービス!
T: 各テーブルにどっさり置いてあるんだよ。俺は3個食った。
E: 3個かよ!!・・・でも俺も食うな(笑)。ゆで玉子好きの我々にとってはまさに夢のようなサービス(笑)。蛇がいたら呑んじゃって呑んじゃってもう大変。
T: なんじゃそりゃ(笑)。俺も玉子につられて2回くらいは行ったんだけどね(笑)。やっぱり肝心のラーメンの味がね・・・・。だけど本店はいろんな本でヤケに紹介されてるし、それなら・・・と思って行ってみた。で、“なんじゃ、こりゃぁー!!”だよ。
E: うん。まずはあの、店の立地にビビるよね。京都駅降りて、いきなり寂しい方に連れていかれた時は、大丈夫かよ・・・・ってマジで思ったもんな。
T: はははは。あの近代的な京都駅から歩いて2〜3分のとこなんだけどね。その場所だけは昔のまんまって感じのとこでね。そこに、美しい・・・・とは決して言えない店がある(笑)。
E: しかも、主役のその2軒が、ピッタシ隣同士で並んであるっちゅう風景も相当ショック受けるよね。そんでどちらもはやってる。2軒並んでたらどっちかはマズイでしょ普通。女の子だって、二人いて、どっちもイケてる・・・・・ってことはマレじゃん(笑)。
T: うちのスタッフの女性二人は、じゃ、マレな例ということですな?
E: そういうことですね。「新福菜館」と「第一旭」のような二人に囲まれて仕事できる我々は幸せですな。
桑原: いいかげんにしてくださいよ。
斎藤: セクハラですよね。
T: はいっ。いいかげんにしましょう(笑)。でもホントにあの2軒の関係は面白いよね。メニューも価格もほとんど一緒。普通の“ラーメン(600円)”があって、“小”と“特製”がある。そして“肉なし”と“肉多め”ってのも2軒ともある。
E: うんうん。まんま同じなんだよね。
T: で、味も・・・・ま、何回か食うと違いがわかってくるんだけど、初めて食った時ってほとんど・・・・・っていうか、ソックリ。しょうゆベースで豚肉の味がして、チャーシューがいっぱいのってて、九条ネギがドッサリというカタチも。江口さん、初めて食った時どうだった?
E: 「新福菜館」のラーメンが初めて目の前にドーンと出てきた時ってさ・・・・すごいインパクトじゃん。
T: うん。丼が受け皿にのってて、その皿にドバーっとスープがこぼれてる。で、丼も小さいから、具とかも本当にこぼれんばかりに盛られている。


E: とにかく初めて見た人はビックリするんじゃないかな、特に東京の人なんか。あのスープ、しょうゆまみれっていうか、色がすっごく濃いじゃん。
T: そうだね。特に「新福菜館」は真っ黒だね。「第一旭」の方はやや白みがかってる感じだけど。で、両方とも、チャーシュー麺かと見まごうばかりに、煮豚を薄くスライスしたやつがドッチャリンコとのってる。“肉多め”を注文したらどうなるんだ!ってくらい(笑)。
E: そうそう。普通がすでに普通じゃないんだからさぁ(笑)。更に“特製”となるともう、どういう事になってんだ?って思うけど、どうなの?見た?食ったことある?
T: スゴイ。スゴイよ。2軒ともあの状態に更に麺とチャーシューが追いうちかけてのっかってくるよ。「新福菜館」はその上更に、生玉子ものってくる。
E: うわー!駄目押しだーっ!
T: 俺は生玉子ヤなんで、「新福菜館」のはまだ未食。でも「第一旭」の“特製”はしっかり食べました。あれはもう、大満足だね。
E: う〜ん、生玉子は俺もちょっとツライな・・・・ま、元気は出そうだけど。って、そんなに元気つけてどうすんじゃい!
E&T (爆笑)
T: それって焼肉屋のノリ?じゃ、「新福菜館」で“特製”食ってるカップルはデキてる、ってことね。
E: そうっす。デキてます(キッパリ)。でも女で食う人あんまいないんじゃ・・・・・女の方だけ“特製”たのんだりしたら引くよね。『俺は“並”なのに“特製”かよ』とかさ(笑)。
T: わははは。話変わるけど、この前どっちかの店で『麺カタ、ねぎ多め、バラ』って頼んでるお客さんいてさ(笑)。
E: へっ?麺カタ、ねぎ多めはわかるけど、バラって何?
T: 俺もなんだろ?って思ってたんだけど、バラ=バラ肉の事みたいなんだよ。要するにチャーシューの肉の部位まで指定してるんだよ。
E: わっホントォ?っていうか逆にそこまで指定していいんだ?
T: 余談だけど、モモ肉部分を頼みたい時は“アカ”というらしいよ。
E: ふ〜ん。そこまでいくと「通」ってわけだ。
T: でもさ、それが心地いいんだよ。京都にしろ何処にしろ、正しい文化を持っているところって、お客さんとお店の関係性がものすごく正しくて、客は 単にそれが食いたいから注文する。お店側も、お客さんがそれを望むなら提供しようじゃないか・・・・みたいなね。で、それがいつのまにか口コミで広がっていく。って言っても客みんなが同じ事するワケじゃなくね。こういうある意味のゼイタクは言い出したらキリないから、お客さんも適度に距離を守りつつやってる。だからお店との良い関係がずっと続けられるんじゃないかな。すっげぇ幸せな関係だよね。
E: うん。東京だと、お店側が客におもねるっていうか、“脂多め・少なめ”とかをリクエストして下さいみたいな事を最初から言っちゃう。そういう事を新しいサービスだと勘違いしてる店、最近多い。
T: そうそう。これは前にも言ったことなんだよね。そう言えば今回、「新福菜館」で『スープぬるめで』って頼んでるオヤジがいたよね。
E: おーいたね。あれ、どうすんだろ。水でもさすのか?
T: いくらなんでもそれはないと思うけど・・・・ワカラン。でも、『ぬるめで』ってオーダーするお客さんがいて、それを顔色ひとつ変えずに『はいっ、ぬるめ一丁!』と厨房に通す店側。
E: どんな注文をしても出てくるのかっ(笑)?
T: すごいよなー。でも、お客さんもワガママって感じじゃないし、お店もお客さんにコビ売ってるワケでもない。その自然な関係性ってすごい。しかも旨いときたもんだ。
E: 味は濃厚だけど、全然しつこくない。本当に旨いラーメンであり、食い物だよね。
T: ウンウン。


E: でさー、今、東京でハヤリのラーメン屋みたいにインテリアがどうだとか、どこそこの素材を使ってますとかいう小賢しい事とは一切無縁なとこがイイね。ホントにただのラーメン屋。良い意味で小汚いし、オヤジが作ってるし(笑)。
T: うん、汚いっていうよりオシャレじゃない。だけど清潔。厨房のステンレスなんてピカピカだもんね。
E: 俺さ、あーいう昔っぽいテーブル、好きなんだよね。ガタガタ動いちゃうような。そして、ちょっと窮屈っぽい、雑然とした雰囲気でラーメン食うのがイイの。嬉しくなってくる。
T: 特に「新福菜館」の方、そういう雰囲気だよね。まるで台湾の屋台とかで食ってるみたいな気分だもん。行った事ないけど(笑)。で、江口さんは、味的にはどっちが好み?
E: 俺ねー、初めは「新福菜館」の方が旨いと思ったんだ。だって最初が「新福」で、「第一旭」は次の日だったじゃない。最初の「新福菜館」のインパクトがあまりに強烈だったから、「第一旭」の印象がかなり薄れちゃったんだね。2軒の味の差もあんまりわからなかったし。・・・・・なんだけどぉ、今回食べたら「第一旭」の方がおいしく感じた。
T: 明確な味の差が出てきたでしょ?
E: うん。一見似てるけど明らかに違うラーメンだねアレは。2軒並んでても両立するワケだ。2年前に食べた時は 「新福菜館」の方が尖った感じ?うーん、鮮烈!!って思って。それに比べたら「第一旭」の方はちょっとマイルドというか、眠たく感じたんだけどね。
T: そうだね。でもそれが何回か食べると、マイルドな「第一旭」に旨みを感じるんだよね。俺もまったく同じ印象だし、スタッフの桑原・斎藤組も同じ意見みたいですな。
(うなずいている桑原・斎藤)
T: ところが!つい先日「新福菜館」を食ったらですね・・・・・・すっげぇ旨いの!もうビックリ!
E: ・・・・つい先日って、徳さんまた京都行ったのか!?社員旅行で行ったばっかりだっちゅーのにか?
T: あっ・・・いや、まぁ、ちょっこっと・・・いや、ほんの先っちょだけ・・・・って、ナニ言ってんだ、わはははは(汗)。
E: まったくもう・・・・・ 一人でコソコソとねぇ。
T: コソコソじゃないよ!奥さんと行ったんですっ。何もう、人聞きの悪い!
E: ふ〜ん。まぁいいんですけどぉ、仕事はちゃんとやっておられるようですからぁ。
T: ひええ〜。その皮肉!!いつもと逆じゃん〜。
E: ははは。ホントはいつもこうなんですよぉ皆さ〜ん。
T: うそつけ(笑)。(気をとり直しつつ)さっき江口さんも言ったけど、あそこのっていつもは、しょうゆ味や肉の味が目立ってトンガってるじゃん。でもこの前のはね・・・・もう渾然一体なのよ(ウットリ)。めちゃウマ。いや〜ラーメンっちゅうのは深いわー、本当に。(シミジミ)
E: だから何度も言うけど、1回食ったくらいじゃわかんないよね。でもこの2軒の味は、相当高いレベルで競い合ってるじゃん。もう、どっちが上かって話じゃないよね。
T: うん。強いて言えば、俺たちの好みは「第一旭」の方かなって程度でね。でもこの前の「新福菜館」はすっごく旨くて、これでまたどうしようかと悩んじゃったよ。
E: (爆笑)だから別に決めなくてもいいんだよ。どっちも好きでいいじゃん。好きな店が2つも並びであるなんて、ゼイタクな事ですよ。
T: そーか・・・・そーだよな。
E: だってホラ、「第一旭」は餃子が旨いよね。
T: ウマイ。江口さんと違って、俺は普段ラーメン屋でサイドオーダーってたのまないんだけど、ここでは“餃子”と“ライス(小)”をたいがい頼むよん。
E: で、「新福菜館」だと“ヤキメシ”たのむでしょ?
T: うん!(笑)
E: あの“ヤキメシ”は旨いよねぇ〜。“チャーハン”じゃなくホント“ヤキメシ”って感じの。値段も安いし・・・・500円。
T: ラーメンもモチロンおいしいけど、“ヤキメシ”の方が俺は好き。
E: そういえば、“ヤキメシ”も色が濃いよね。
T: きっとラーメンのタレを使ってんだろうね。でも見た目ほどしょっぱくないしね、ラーメンと一緒で。う〜っ食いたくなってきた〜。
E: 食欲そそるんだよね〜アレ。なんとなくさぁ、「第一旭」は“おいしい”、「新福菜館」は“ウマイ”って感じしない?
T: “うめぇ!!”だね(笑)。牛丼みたいにガッシガシ食いたい。
E: うん。いっぱい汗かいて仕事する人たちには「新福菜館」の方が人気あるかも(笑)。でも、願わくば「第一旭」のラーメンと「新福菜館」のヤキメシをセットで食ってみたい!
T: うんうん。ハシゴするんじゃなくて、同じ場所で一緒に食えたら最高に幸せ!!
E: 隣から出前とるか。
T: わはは。それ、いいね。
E: でさ、どっちの店にもメニューにキムチがあるじゃん。あれ、こっちの感覚からすると不思議じゃない?
T: 人から聞いた話なんだけど、あの辺りは昔、韓国の人達がたくさん住んでいて、その人達がやっているラーメン屋がたくさんあったらしいんだ。でも時代と共に淘汰されて、今のあの2軒だけになったみたい。だからどちらの店にもキムチがあるし、品揃え似てるし、ラーメンの味も似てる。だけどそれはワザとでも何でもなく、昔からずっと変えずにやってるだけのことらしいよ。
E: なるほどねー。そっかーあのラーメンは、店のスタイルじゃなく、国とか地域的なスタイルなのかー。そう考えるとすべてが納得がいくなぁ。
T: まぁ、あれが=韓国のラーメンなのかっていうと、ちょっとそれはワカンナイけどね。
E: うん。ところで俺たちは「第一旭」行ったり、「新福菜館」に行ったりしてるけど、地元の人たちはどうなんだろうね。
T: これも知り合いに聞いたんだけど、地元の人たちも、たいがいどっちも好きみたい。
E: へぇー、やっぱそうなんだ。
T: 地元の人からも支持され、地元以外からもワザワザ食いに来る人がいるという幸せな状態。でも京都の人は、あの2軒をおさえた上で、他にも好きなラーメン屋を持ってんだって。
E: へぇー、この2軒はベーシックとして愛してるって感じなんだね。いいな〜。羨ましい〜。2軒とも、いいとこいっぱいあるんだけど、朝早くから営業してるっていうのもポイント高いよ。
T: あ〜そうだね。特に「第一旭」の方は朝5時から夜中の3時頃までやってるもんね。
E: こんな店が吉祥寺にあったらなぁ。行くだろうね〜きっと。しょっちゅう行くね(笑)。
T: 生活不規則な漫画家にはうってつけの店だよね。
E: その営業時間だとさ、飲む前でも、朝まで飲んだ後でも安心して食いにいけるよなぁ・・・・・なんて絶妙な時間帯なんだ〜。
T: ダメだこりゃ(苦笑)。そんなこと言ってるからすぐ太るんだよ。まぁ、皆さんもぜひ、「新福菜館」「第一旭」の本店へ行ってみて下さいな。「新福菜館」は新横浜のラーメン博物館でも食べれますが、ワザワザ新幹線に乗って食べに行く価値はある!!
E: うん、あるね。っていうか俺、前回の道場やぶりで、ラーメンは近所で食うもんだとか言っておきながら思いっきり矛盾してますが(笑)・・・・俺にとって、京都に行くっていうのはもちろん非日常なんだけど、年に1回くらいは行くとか、まぁ要するに、俺の生活の中に京都っていうコンテンツはあるワケよ。更新頻度は低いけどね(笑)。
T: はははは。苦労してんね。でも先ちゃんの言いたいことはよくわかるよ。このラーメン食うためだけにワザワザ京都に行くっちゅうのはちょっとオカシイけど、神社仏閣めぐりに出かける人とかもいるわけだから、そんなときに・・・ね。高い和食屋さんで、観光客向けのヘンな懐石弁当食うよりはよっぽど満足できまっせ〜。
E: ということで、そろそろ次へ行きますか。
T: ほい。2年前に初めて「新福菜館」と「第一旭」に出会って以来、俺も江口さんもそこばっかり行ってましたけど、今回ついに有名店の「ますたに」に・・・・・もうこれが京都の老舗っちゅうか、京都ラーメンのルーツといわれる店に 行ってきましたね。
E: 今、俺らラーメンに対して積極的になってますから(笑)。
T: ははは。で、ここがまた変な場所にあるんだよね。
E: うん。銀閣寺の近所の疎水沿い。
T: そこ、通りからは樹があって見えにくいし、こんなところにまさかラーメン屋ないだろうってとこにポコッとあってね。しかしそれがすごい繁盛店。俺、ここ見つけた時、こんな所でなんの行列だろうと思ったもん。店自体は見えなかったからね。
E: ははは。確かに見えないね。でも俺たち行った日は並ばないで入れたね。
T: だって早起きして、開店から行ったもん(笑)。
E: すごいよね(笑)。朝、起きぬけからラーメン食ってんの(笑)。
T: 11時ちょっと過ぎに着いたんだけど、それでもすでに、おいちゃん、おばちゃんが食ってたね。でさ、味とかその前に、あそこもまた、昔からあります・・・みたいな、町の普通のラーメン屋さんでね。働いてるのはおばちゃんで、これまた厨房のステンレスはピカピカ。
E: そう言えば確かに旨いラーメン屋って、おばちゃんが働いてるのって多くない?あ、でも「新福菜館」と「第一旭」は男しかいないか。
T: いや、「第一旭」にはさばき系のおばちゃんがいるね。
E: あっそうか、いたいた。でも「新福菜館」にはいなかったよね?
T: うん。あそこは男ばっかり。だけどみんな、ラーメン屋のプロ。接客係も作る人も。
E: そうだね、見事だよね。で、「ますたに」の場合は男は主人一人。あとは3〜4人、全員おばちゃん。ラーメンを作るのはもちろん主人だけ。
T: 店内はカウンターが7〜8席とテーブル席が4席くらい。
E: しかし意表つかれたね。俺、てっきりしょうゆ味だとばかり思ってたんで・・・・・
T: えっ?あれ?もしかしてもう味の話してんの?
E: そうそう。ちゃんとついてきてよ(笑)。
T: ハイハイ(笑)。いやぁ、あれこそパワフルだよ。何ていうか、味がパワフル。
E: うん。背脂こってり系だったねー。
T: で、ニンニクと唐辛子が効いてる。食べてみて即、これが「天一」のルーツなんだ!!・・・・ちゅうのがわかりやした。
E: そうそう。こっちがオリジナル。
T: だからさ、京都のラーメンって、「新福菜館」「第一旭」系と「ますたに」系の大きく2つに分かれてるみたいだね。
E: ねぇ。あの衝撃を受けた「天下一品」も「ますたに」系のひとつに過ぎなかったんだねぇ。だんだんわかってきましたねー京都ラーメンの系統も。
T: まぁ、そんなの解明しても何の役にも立たんけど。そういうのは日頃ネットでご活躍されている方々が分析されればよろしいことで・・・・・
E: チクチクと(笑)・・・・刺しますなー。
T: わかるかな(笑)?ま、何度も言いますが、我々は旨ければ良いっちゅうね。
E: シツコイようですが、そういうことです。
T: ところで「ますたに」のカウンターには、たくさんの調味料が置いてありましたね。一味唐辛子、酢、コショウ・・・・・。でも、そのままでも充分辛かったけど。
E: うん。でも唐辛子が合う味だね。
T: だね。パワフルな脂ぎってるラーメンに唐辛子の辛味がピシッと合うよ。


E: いやぁ、しかしビックリした。あの穏やかなおばちゃん達が、あんな凶悪なラーメンを出すとは(笑)・・・・・
T: アハハハハ!
E: ・・・・思わなかったですよ。しかものどかな朝にだよ?
T: ハハハハ。「新福菜館」とか「第一旭」って、ラーメンが運ばれてきた時にインパクト感じるじゃん。その姿カタチに。対して「ますたに」は、運ばれてきたときは別に驚きはなかったけど・・・一口食った瞬間、『うおおぉっっ!!』って・・・・
E: まさに羊の皮をかぶった狼!!
T: そうそう(笑)。でもあれが何十年も前から京都ラーメンの代表的なものとして続いているわけでしょ?さっきも言ったけど、いやぁ〜京都っちゅうのはパワフル。そして京都の街はまさに羊の皮だよ。
E: 京都、恐るべし。でも最近は京都にも新しいラーメン屋がボコボコ出来てるんでしょ?
T: なんか最近ね。マスコミもそういう新しい店を取り上げてるみたいだし。ホント東京の二の舞にならんことを、切に私は願いますわ。だって「第一旭」「新福菜館」にしろ、「ますたに」にしろ、正しい店が圧倒的に多いじゃん。
E: おっ。また熱くなってきた(笑)。
T: 店、汚いけどキレイにしてるし、働いてる人みんないい顔してるし、お客さんにも通ぶってる人なんかいないし。正しい常連さんがいる。
E: うん。昔から来てるようなおじいちゃんとかね。でも大丈夫なのか、年寄りであんなヘビーなラーメン食って・・・・。
T: そう言えば、あのおじいちゃん、大盛り食ってたぞ。
E: それにライスも食ってた。死ぬ気なのか、じいちゃん?
T: (苦笑)ちょっとさぁ・・・・・「ますたに」の味について、パワフルとかインパクトとかしか言ってねぇけど・・・・・いいか、旨いもんね。
E: ただし、好み的に言うと、徳さんも俺も「第一旭」「新福菜館」系だよね。「ますたに」も、もちろん旨いけど、歳のせいかね。最近ああいうパワフル系はちょっとキツいね。
T: そんなこと言ってたら、あのじいちゃんはどーすんだよ(笑)。しかも連れのばーちゃんも平気な顔して食ってたよ。すげーっ。
E: なんかさぁ、俺たちの他、みんな年寄りじゃなかった?客。あっ、朝早いからか・・・・
T: あっ、でも今思えば「喜楽」もそうだ。じいちゃんの客、いっぱいいるワ。そういう人たちはラーメン本見て、この店がはやってそうだからって来てるわけじゃないじゃん。元々、昔からその店が好きで、通い続けているうちに気がついたらじいちゃんになってた・・・・ちゅうか。俺も将来「喜楽」でそうなるわ(笑)。
E: わはははは!なるなる!今思ったんだけど、正しい店の条件のヒトツとして・・・・例えば「良いラーメン屋の見つけ方」なんてのを漫画で描くとするじゃん。そしたら・・・・・(その1)まず店内を見回してみましょう。客にジジイがいる店は、よい店です。
E&T (爆笑)
E: (爆笑しながら)あと、あとさ、おばちゃんが働いている店!
T: それ必須だね。おばちゃんが大勢働いてる店に悪い店なし!
E: 店主がラーメンを作り、おばちゃんが働いてる。そしてお客に年寄り多し!コレ絶対いい店(笑)。そーいえば、徳さんの田舎の「なべさん」も、まさにそういう店だったじゃん。
T: うん。もう子供から年寄りまで・・・・もちろん若者もお姉ちゃんも、あらゆる年齢層がいるもんね。
E: ね。そういうのが正しい姿だよね。それこそ地元でずっと愛されてる証拠!東京で今話題のラーメン屋って、若者ばかり相手にしてるもんな。
T: 客も店員も、若者に偏っている店はダメな店が圧倒的に多い。これはもう、結論づけますワ、俺は。ともかく、客のほとんどが若者ばっかじゃねーか、最近ネットやマスコミがはやしたててるラーメン屋は。
E: 東京はね、若者にへつらい過ぎだよ。京都では若者は若者でしっかり文化を創ってる。でも、大人の文化もちゃんとあるっていうか。双方がお互いにおもねってないような気がする。
T: うん。きちんと学生文化も確立されてるね。お互いこびてないし、尊重もし合ってるよね。本当にそれはいい環境だよなー。


T: でも、まだまだ京都、こういう正しいラーメン屋たくさんあるんだろうなー。
E: 今度はそこらへんも廻ってみますか、積極的なうちに。京都編、第二弾なんて。
T: いいねー。京都編ならもう、何弾でも。
E: (笑)そー言えば徳さん、話したい事があるとかないとか?
T: そうそう。話していい?
E: どーぞー。『徳さんの、話してもいい?コーナー』でも作るか。
T: (笑)でね、京都のまだたくさんあるんだろうなー、の一軒に「ほそかわ」って店があるんだよ。「ますたに」で働いていた人が10年前くらいに出した店らしいんだけど。
E: へぇ。
T: でさ、そこがまたヘンピな所にあるのよ。そん時はプライベートで行ったんで、道場やぶり番外編になっちゃうんだけど、大切な事に気づいたから、語らせてもらいます、ハイ。
E: はいはい。
T: で、「ほそかわ」のラーメン、美味しかった。やっぱ「ますたに」系の味なんだけど、それ程コッテリしてなくて、いい意味でサラッとしてる。パワーは半分くらいなんだけど、旨みはあるんだよ。
E: それじゃ、さっき話してた「御池ラーメン」っぽいの?
T: いやっ、それとは違う。「御池ラーメン」はもう、独自のものがあったから。
E: ふ〜ん。で?「ほそかわ」ってちなみにどこにあるの?
T: 街からはちょっと離れてて、西京極ってとこにあるんだよ。でさ、駅降りてから10分くらい歩くんだけど、住宅と工場ばかりで本当に静かな所なの。で、たどり着いたら、地味な感じの店でさ。朝11時ちょっと前くらいに行ったんだけど、すでに5人位客いて、みんな小ライス食ってた(笑)。
E: (笑)ね、その話、オチある?
T: ちょっと聞きなさい(笑)。で、俺たちが食ってる時に、いつも来てるって感じのおばちゃんが一人で入ってくるやいなや、『麺固め、小ライスなー』って注文したんだ。ちなみに東京のラーメン屋だと、普通のラーメンがあって大盛りがあるんだけど、京都は(中)(大)(小)なんだよね。
E: (中)が普通盛りなのね。
T: うん。で、ライスは(中)と(小)。これは「第一旭」も同じ。で、「ほそかわ」にもキムチがある。
E: ・・・・・ね、本当にオチある?
T: だからココからだから(苦笑)。で、そのおばちゃんなんだけど、ラーメンを待ってる間にテーブルに置いてある唐辛子味噌をレンゲにこってり盛りながら、『ご飯、先に持ってきてやぁ〜』って言うんだよ。俺はてっきりその味噌でご飯を食べるんだなと思ったら、そのレンゲはテーブルに置いて、漬物でご飯をガシガシ食べ始めた。
E: じゃ、その味噌は、ラーメンに入れる用だった?
T: うん。最終的にラーメンにどっと入れた(笑)。で、何を言いたかったのかというと、東京の「ああいうラーメン屋」って、みぃーんな同じフォームでレンゲを押さえて、丼を持ってスープを飲んでるとか、みんな「麺カタ」オーダーとか、食べ方が画一化されてるよね。ところが・・・・・
E: ああ、京都ではみんな自分のスタイルで好きなようにやってるって事ね。
T: そーなんよ。自分たちが食べたいように、で、お店もそれに気張らずに応えてる・・・・・って、これ、「新福菜館」のとこで同じ事言ったか。
E&T (吹き出す)
E: (笑)ここまで喋って、オチ同じかい!!
T: (苦笑)いや、もうひとつあるんよ・・・・・コレはまだ言ってない。・・・・・俺ばっかしゃべりまくってゴメンね。
E: いや、もういいよ。気が済むまでしゃべってよ、このコーナーは(笑)。
T: でね、さっきから「ますたに」にしろ「ほそかわ」にしろ、変な所にあるって言ってるじゃん?でもさ、その変な所っていうのは、俺なんかの勝手な言い分であって、そこに住んでる人達からすれば、変な所でもなんでもない訳よ。
E: そうだよね。変なのは、よそ者のくせにわざわざそこに行く俺達だよ。
T: そう。“わざわざ行かせてもらいます”なんだよ。地元の人達の愛すべき店なんだからさ。でもね〜。我が家の近所にある某ラーメン屋はね、地元の人誰も行かないよ。それなのにその店、今いっつも行列してる。で、客はラーメン本見てやってきたヨソ者ばかり。東京の、この変さ。まったく間違ってるよ。正しくない。
E: ふふっ。例の店だね?じゃ、次のターゲットはソコにするかね(ニヤリ)。
T: ふふふふ。楽しみじゃのう(ニヤニヤ)。ところでよく考えてみると、ノーパン喫茶の発祥って京都なんだよ。
E: あっそう?大阪じゃないんだ?
T: 意外なんだけどそうなんだよ。あと、「餃子の王将」もそう。何度も言うけど、京都ってパワフルで、決して上品じゃないんだよなー。バンドでいうと、くるりなんかもそうじゃん。
E: くるりねぇ。ポップなんだけどパワフルで、一筋縄じゃいかなくて、奥の方でエグイものが渦巻いてるような感じが京都っぽいかも。
T: いやー、あの街は本当に奥が深くて面白いわー。
E: 京都とかでやる仕事とか入ってこないかなー(笑)。喜んでやるけどなー。1ヵ月くらい滞在してさー。ああ、いいなー。したら毎日イノダコーヒーとか行っちゃうな。
T: 喫茶店も、あと飲み屋もねー、正しい店多いんだよねー。
E: あ、あそこ“コーヒ”なんだよね表記が。今回初めて気づいたんだけど。“コーヒー”じゃなく“コーヒ”(笑)。そんなとこもまたイイ(笑)。
T: (笑)やれやれ。今回は京都礼賛の巻でしたな。
E: (ひとりごとのように)街の真ん中に川が流れてるってのもいいんだよなー・・・・・
T: あ、ダメだ。完全に現実からの逃避に入ってる。江口さん!!ホラッ!!仕事せんかい仕事!!

   実は京都大好きな先ちゃん&徳さん、今度ラーメン以外の京都特集をやるとかやらないとか。ホントかな?それより“極楽CD”はどうなる?等々、みなさん聞きたいことが山ほどあるでしょーが、とりあえず“道場やぶり”はガンガンやりまっせ〜ってことなので、次回も比較的早くお目にかかれることでしょう…たぶん。ほな、毎度おおきに。  

(まとめ人/斉藤真理)